「これ、すごく好き」と思えるモノは、自分らしさの種となり、あなたという人の輪郭を描いてくれるものになる。ジュエリー・ディレクター伊藤美佐季さんおすすめのアイテムを紹介します。
JAPANESE JEWELER
「日本人デザイナーのジュエリー」
仕事柄、ラグジュアリーメゾンからファストファッションまで、常にたくさんのジュエリーや服に触れています。そんな中で、今の私がリアルに身につけているもので、意外に多いのが日本人デザイナーの服。
私にとっては、高額なブランドのものだからいいのではなく、自分の生活に照らし合わせて、心地よく過ごせるかどうかが大事。いい意味での“分相応”、背伸びするとしても、今の自分が頑張れる延長線上にあるものに魅力を感じるのです。
最近の日本人デザイナーの服は、独自のクリエイションがありつつ日常で着るにも丁度いい、魅力的なリアルクローズがたくさん見つかるなと感じています。そして、それと同じことがジュエリーにも当てはまり、ライフスタイルに馴染みながら、鮮度をもたらしてくれるような輝きが見つかるのが、日本人が手掛けるジュエリーブランドなのです。今回は、今、私が注目している四人の日本人デザイナーのものを選んでみました。
一つ目は、「天然の美しい宝石をそのままの形で届けたい」とデザイナーが自ら世界中を旅して見つけてきた天然石を使ったジュエリーを作っている「ボロロ」。ご本人にお会いした時に感じた“静”のムードを湛えつつ、芯の強さを感じさせる佇まいがプリミティブな輝きに表れていると感じます。
二つ目は、モダンなデザインの「トーカティブ」。元々グラフィックの仕事をしていたというデザイナーが作る輝きは、「そのジュエリーはどこの?」と聞かれるような、印象に残るデザインだと思います。
三つ目は、イギリス・ブライトンにスタジオを構える「マリコ ツチヤマ」。パールのジュエリーは、全て手作業で仕上げているそう。人の体のパーツを美しく見せるよう考えられたデザインに惹かれます。
最後は、私も大好きな「シハラ」。構築的でモダンな世界観と、つけた時に肌に美しく馴染む職人技が両立していて、オリジナルなスタイルを確立しています。北青山にできた新しいお店にお邪魔し、ランチをご一緒させていただいたことがあるのですが、植物を育てながらパンを焼いたりもなさっているというお話に感激。丁寧な暮らしぶりがクリエイションにも反映されているなと感じました。
今回ご紹介した四名のデザイナーは、その人の好きな世界やパーソナリティが、作品にしっかりと表れているように思います。その上で、“強さ=意志”のあるデザインだから、身につけたとき、装いのフックになってくれるのです。これをつけるとパワーがもらえる、フレッシュな気持ちになれる……そんな輝きを気負いなく楽しむ手掛かりにしてみてくださいね。
ボロロ
電話番号 03ー6317ー9868
http://bororo.jp/
トーカティブ 表参道
電話番号 03ー6416ー0559
https://talkative.jp/
エスケーパーズオンライン
電話番号 03ー5464-9945
https://escapers.jp/
シハラ トウキョウ
電話番号 03ー6433-5373
https://www.shihara.com/
伊藤美佐季(いとう みさき)
ジュエリーディレクター、スタイリスト。フィレンツェに遊学、帰国後スタイリストに。つける人の個性を生かしたスタイリングは、女性誌のほか多くの女優からも支持が厚い。近著に『そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』(ダイヤモンド社)
Instagram @jewelryconcierge_m
Column
伊藤美佐季のSource of yourself
ジュエリーディレクターの伊藤美佐季さんが指南する、大人のためのジュエリーの選び方と、つけ方のエッセンスを連載でお届けします。
2023.02.14(火)
Text=Miwako Yuzawa
Styling=Misaki Ito
Photograph=Masanori Akao