●新作映画の感想で「カッコ良かった!」は禁句で(笑)

――最新出演映画『生きててごめんなさい』では小説家志望の青年・修一役を演じられています。これまでの俳優としての黒羽さんのイメージとはかなり異なる役柄だったかと思います。

 この作品で企画・プロデュースをされた藤井道人さんとは、ドラマ「向かいのバズる家族」からお付き合いがあったんです。その頃から「いつか一緒に映画をやりたいね」という話をしていただいていたので、こうして実現できたことは嬉しいです。普通の映画では主役になれないような修一という役をリアルに演じることは、今までの自分の中にないものを出すという作業でもありました。現代社会の“生きづらさ”みたいなものを観ていただければと思います。ハッピーエンドでもバッドエンドでもないところも面白い作品になったかと思います。

――本作は黒羽さんのキャリアにおいて、どんな作品となったと思いますか?

 今回は山口健人監督と共演の穂志もえかさんと一緒に、何度も何度もリハーサルを重ねることで、いろいろな話し合いができるようになった貴重な現場でした。これまで多くの映像作品をやってきたわけではないですが、今まで以上に、みなさんに早く観てもらいたい作品になりましたし、意見や感想を聞いてみたい作品になりました。

――「テニミュ」や「刀剣乱舞」からのファンの方は、どんな新しい黒羽さんが見られると思いますか?

 簡単な言葉で言うと、新境地といえると思います。これまで有り難いことに、「カッコ良かった!」という感想をいただけるような作品が多かったと思うんですが、観終わった後に“そうじゃないもの”が届けられる作品になりました。だから、「カッコ良かった!」というワードは禁句でお願いします(笑)。

――将来の希望や展望について教えてください。

 役者である前に、一人の人間として、いろんな経験をして、リリー・フランキーさんや滝藤賢一さんみたいなイケてるおじさんになりたいです。今、出演しているドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」では遠藤憲一さんの部下のパタンナー役を演じているんですが、エンケンさんも少年の心を忘れてないところとか素敵ですね。

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黒羽麻璃央(くろば・まりお)

1993年7月6日生まれ。宮城県出身。2010年、第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて準グランプリ受賞。12年、ミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンで俳優デビューし、ミュージカル『刀剣乱舞』では社会現象化するほどの人気を博した。近年の主な出演作は、ミュージカル「エリザベート」、映画『貞子DX』、ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」など。

『生きててごめんなさい』

2023年2月3日(金)よりシネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開

日々の仕事に追われ、小説家になるという夢を諦めかけていた出版社の編集部で働く修一(黒羽麻璃央)。彼と同棲生活を送る莉奈(穂志もえか)はアルバイトをクビになるなど、何をやってもうまくいかない。その後、修一は大手出版社の新人賞にエントリーする一方、莉奈は修一が担当する売れっ子コメンテーターの目にとまり、修一の同僚になる。
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Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2023.02.03(金)
文=くれい響
撮影=末永裕樹
ヘアメイク=泉脇崇(Lomalia)
スタイリスト=ホカリキュウ