この記事の連載

コロナ禍の影響はこんなところにも……

 そうこうしてソウルにたどり着いた。筆者自身、2年半ぶりの現地に妙なテンションになった。何せその間、家に引きこもってYouTubeで韓国ニュース、K-POP見まくり、ネトフリでドラマ見まくりの状態で…。大げさだが「その世界が実在するんだ」という感動に包まれた。到着直後、仁川空港で食事をした際にレジで「CJ(サムスン系)ポイントカード貯めてますか?」と聞かれて「うぉーこれ、YouTubeにないリアル世界」と妙な興奮をしたものだ。

 しかし、意外なポイントでテンションが下がった。はっきりと「コロナ禍の影響」だ。2022年9月に滞在した際も、11月に再び訪れた際も同じだった。

「マスクして下さい」

 そう注意されたことだ。いまでも公共交通機関では似た経験をするだろう。韓国では1月30日までは室内のマスク着用への視線が非常に厳しかった。

 様々な店のスタッフに言われた。日本では5月に政府が「基本的対処方針」の改定を行い、屋外では「周囲と距離があり、会話が少なければ外してもOK」というガイドラインが発表になった。だから日本の感覚のままちょっと緩くしていたら……

 韓国では面食らった。なにせ店側からの注意がかなり細いのだ。

 カフェでおしゃべりした後、ちょっと席を離れようとしたとき(トイレなど)。席に座っていればノーマスクでよいが、立ち上がった瞬間からが要注意。

 あるいはコンビニに一瞬、モノを買おうとした入った時。

 はたまた雑居ビルに一歩足を踏み入れた瞬間に警備員が飛んできて「マスクして下さい」と言われたこともあった…。

 とにかく「屋外から屋内に入った時には要注意」だった。何も罰せられたりはしないのだが、何せ驚くし、注意されるというのは気持ちのいいものでもなかった。まあ日本だと「そこまで言うと、揉めちゃうでしょ?」というくらいに敏感なのだ。

 日本ではあくまでマスク着用は「政府からのお願いベースの話」だった。でも韓国では事情が違うのだ。現地スポーツ紙のライフ担当記者の説明。

「韓国ではマスク着用が義務化されたんですよ。条例により、地方自治体が実情にあった条件を決めることが出来た。一時は『会食の人数』『時間』まで決められていて。違反時には店側が過料を払うことになっていました。1月30日から室内での着用義務も解除になり、雰囲気は変わりましたが、バスや地下鉄など公共交通機関での義務は続いています」

2023.02.09(木)
文・撮影=吉崎エイジーニョ