圧倒的な景色と自然の厳しさを目の当たりにした北海道・大雪山

――今年(2022年)の初夏、秋には番組で北海道の大雪山に行ったそうですね。

 そうなんです。趣味がお仕事に繋がるという幸せすぎる話ですよね。大雪山は登山者にとって憧れの山。ロケには7月~9月に3回に分けて、合計24日行きました。

 今年は全国的に天気が不安定でしたよね。北海道もそうで、1回目に行ったときは最初、天候がよくなかったんですが途中で晴れて、小屋から利尻富士が見えたんですよ。1年に5回くらいしか見られないらしくて、小屋に泊まっている方たちも大興奮で。

 2回目は、荒れに荒れて途中で下山したんですけど、晴れてほしいところだけ奇跡的に天気が回復して、何とか撮影でき、みんなでほっとしました。

――番組で撮影となると、プライベートで登るときとは違いますか?

 楽しさはまったく変わらなくて、これがお仕事でいいのかと(笑)。カメラマンさんを含めてスタッフの方たちがプロフェッショナルで、勉強させてもらうことが多かったですね。

 プライベートだと荒れた山を経験することがなかったので危険を感じたし、その状況でしっかりとした準備と知識があるスタッフに支えていただいたことで安心感があり、みなさんのために頑張ろうと気持ちが奮い立ちました。

――一日中歩いたご褒美に何か持っていくんですか?

 私はお酒が大好きで、パウチにワインとか焼酎を入れて持っていきます。登山の後に飲むのがご褒美です(笑)。今回はスタッフの方たちに私の地元の酒蔵が造ったお酒を絶対に飲んでもらいたくて、日本酒と梅酒を相当な数持っていきましたけど、すぐになくなりました(笑)。

――皆でひとつの目標に向かうことで一体感が生まれたんですね。

 スタッフ・ガイドの方々、歩荷(ぼっか・荷物を運んでくれる人)さんを含めて、チーム感が芽生えました。下山した後はみんな勇敢ないい顔になっていて。

 今回の経験によって、チームで登るのはいいなとあらためて思いました。現役時代を思い出すような……。自分ひとりでは強くなれないけれど、支えてくれる方たちのために頑張ろうと思えて、あと一歩が踏み出せる。

 みんな鈍臭い自分を笑ってくれるし、それでいいんだよって言ってくれるし。気持ちとしては常にどっしりとしていられるんです。

――そんな小椋さんのドラマが詰まった「神々の庭へ 石狩川源流紀行 最初の一滴をもとめて」の見どころを教えてください。

 4Kで撮影してくださっているので、まずは大雪山の雄大な景色に浸ってほしいですね。1日8時間以上カメラを回し、ドローンを飛ばして撮影した相当な量の映像があり、本当はすべてを見てほしいんですけど。

 今回のロケは晴れだけでなくて、よかったなと思っています。山ってきれいな景色だけではないんですよね。険しい道や不安定な天候など、厳しさを感じながら歩いている姿が映し出されているので、自然のハードな面も見ていただけたら。

 番組のテーマは石狩川の最初の一滴を見つける旅。川の出発点を見て、皆さんがどう感じてくださるのかが楽しみです。

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小椋久美子(おぐら・くみこ)

1983年、三重県出身。8歳からバドミントンを始め、2001年に全国高校選抜でシングルス準優勝。三洋電機入社後、2002年に全日本総合バドミントン選手権シングルスで優勝。その後、ダブルスプレーヤーに転向し、北京オリンピックで5位入賞。全日本総合バドミントン選手権で5連覇を達成する。2010年に現役を引退。現在は大会の解説や講演を行うほか、子供たちへバドミントンの指導を通じてスポーツの楽しさを伝えている。

「神々の庭へ 石狩川源流紀行 最初の一滴をもとめて」

2022年12月28日(水) 20:00~22:54 BSテレ東

日本の雄大な山々に育まれた源流を辿るドキュメンタリー。2021年「最後の秘境 黒部源流紀行」に続く第2弾は、北海道の中央部に位置する大雪山と石狩川が舞台。大河の“最初の一滴“をもとめて、旅人・小椋久美子さんが初夏と紅葉の秋の登山に挑戦する。厳しい道のりに心が折れそうになりながら、歩みの先に彼女が目にした景色とはーー。断崖絶壁の層雲峡、裾合平のチングルマの大群生など、4Kカメラ、ドローンによる全方位の迫力ある映像にも心震える。

出演:小椋久美子
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/ishikarigawa/

2022.12.18(日)
文=CREA編集部
写真=榎本麻美(Portlait)