楽しい人生を歩むきっかけになれればいいなと思う
ryuchell こういう3段飛ばしの運があるということは、芸能の世界には向いているということでしょうか。
ケイ子 向いていると思いますよ。波乱万丈で強運なチームに入っていますし。そして、30歳の時に転換期が来ます。前回は東京に出てきたタイミングでしたね。人生を大きく変えたわけですが、また何かを変えたくなりそうです。その前の3段飛ばしの反動で気分がガクンと落ちているかもしれないのですが、30歳の一年をどう生かすかというのはひとつの課題ですね。
ryuchell 10年前はただただ頑張っていたんですけれど、今は気持ちに余裕があるので、うまくコントロールしたいですね。
ケイ子 27歳からの10年間の大きなテーマは「人を感化していく」です。人脈の星が3つ重なる時ですから、人に対する影響力はピカイチです。
ただし、影響力がある人の宿命として、それが、“世のため、人のためになる”という軸を持つことが大切。そうすることで大きな力が発揮されるようになるでしょう。自分がどういう分野でどういうことで人を感化したいのか、自分が発信したいメッセージはなんなのか、ブレない軸が必要ですね。
今年、ryuchellさんがカミングアウトして今後こういうことをしていきたいと発表したことで勇気づけられた人はたくさんいると思うんです。そしてその先に、もっと影響力を発揮して、いろいろなことを発信していく10年が待っているわけですから、今まさにそのスタートラインに立っているというのは大きな出来事だと思います。
ryuchell まさにそう思います。生きづらい人や、生き方がちょっと下手くそな人の気持ちがよくわかるので、自分が発信することで、そういう人たちが生きやすくなったり、気持ちのいい人生を歩めたりするきっかけになったらいいなと。
2020年頃から、SDGs関連や多様性、LGBTQ当事者の方のイベントに参加したり、マイノリティの方とお仕事をしたりする機会が増えてきました。自分もカミングアウトさせてもらって、その人たちと一緒に手を取り合ってやっていくこと、世の中に対して発信してくことに興味を持っていますし、誰かの役に立てるように働きかけていきたいと考えています。
自分の経験をもとに意見を発信していく年齢になったと思うので、とにかくこれからは誰かの力になりたい……それだけですね、逆にいうと。
発表した後にいろいろな人の意見を見たり、聞いたりして、世の中にはつらい人がたくさんいるんだなって気づかされたんです。それでよりいっそう思いを強くしました。
ケイ子 「夢とロマンを追い求めて旅する王様」という宿命を体現するのに、「多様性のある社会」を「夢とロマン」のひとつの軸にして、旅をするような感覚で人生を進んでいけば、自ずと運命が開けていくことになるんじゃないかと思います。
2022.12.17(土)
文=嵯峨崎文香
写真=深野未季
イラスト=中村桃子