この記事の連載
ハリウッドセレブが熱愛するデコラティブなジュエリー「セヴァン・ブチャクチュ」
世界最大級で最古のバザール(市場)の「グランド・バザール」の東側、ジュエリーショップが軒を連ねるエリアに、ひときわ目を惹く黒い入り口がある。繊細でありながら大胆なデザインでハリウッドセレブに絶大な人気を誇る「セヴァン・ブチャクチュ」のショップだ。
「セヴァン・ブチャクチュ」のジュエリーを愛するセレブは枚挙にいとまがない。エルトン・ジョン、アンソニー・ホプキンス、ブルック・シールズ、セリーヌ・ディオン、マライヤ・キャリー、キャサリン・セダ=ジョーンズ、ハル・ベリーなどなど、誰もが知っているアーティスト、ハリウッド・スターたちに愛されている。
オーナーでデザイナーのセヴァン・ブチャクチュさんは、イスタンブールで、アルメニア人の両親のもとに生まれた。子供の頃に「グランド・バザール」にある古典的金細工職人の工房の見習いになり、テクニックやスキルを身につけていった。
「グランド・バザール」では、聞こえてくる音が少年の想像力をかき立てた。鳥の声や木々が教えてくれる風の音、宗教の礼拝所から聞こえてくる声や音などだ。ビザンチン様式の建築が美しい「アヤソフィア」を見上げ、ボスポラス海峡をフェリーで渡りながらカモメと戯れ、さまざまな音を耳にした。それらすべてが、彼の創造力の源だ。
そして、18歳の時に独立すると、宝石商のためのサンプルなどを作り始めた。そんな中、叔父に借金をして作ったイヤリングと指輪が評判となり、自分の工房をもつ。その後、地元のアカデミーのサポート教師をする傍ら作品を創り続けていた。
やがてトルコのマスコミで紹介されると、ハイエンドの顧客をもつバイヤーが訪ねてくるようになった。次第に彼の才能が広く知られるようになり、今では、アメリカを始め世界中に熱狂的なファンをもつ。
そのデザインの特徴は、小さなアクセサリーの中に宇宙があるように繊細でありながら、遠くからでもひと目で分かるような大胆なデザインということ。ショップのディスプレイでは、その細やかな技を見るためにルーペが用意されている。
アクリルやエナメルといった透明な素材の中には、細部まで精巧に模られた鳥や海の生き物、神話、伝説や、「アヤソフィア」を始めとするビザンチンやオスマン帝国の建築物などが、立体として閉じ込められている。そしてその周囲には、ゴールドやシルバーのベースに、ダイヤモンドなどが散りばめられた装飾がなされる。
手の甲を覆いそうな指輪や、手首にタコが這っているようなデザインは、一度見たら忘れられない強烈な印象を残す。美術館に展示されていても不思議ではない。世界のトップセレブに愛されているのもうなずける芸術作品のようなジュエリーだ。
Sevan Bıçakçı(セヴァン・ブチャクチュ)
所在地 Molla Fenari Mah. Gazi Sinanpaşa Sk. No:12 Fatih 34120, Istanbul
電話番号 0212-520-45-16
https://www.sevanbicakci.com/
2022.12.04(日)
文・撮影=たかせ藍沙