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食いしん坊さんのワンダーランド「エジプシャン・バザール」

 「グランド・バザール」の次に大きな屋根付きのバザールが「エジプシャン・バザール」。新市街と旧市街を繋ぐガラタ橋の旧市街側で、「イェニ・モスク」に隣接した場所にある。オスマン帝国様式の石レンガ造りの建物内、屋根付き路地沿いに88店舗があり、屋外にも商店が並ぶ。

 「エジプシャン・バザール」は、16世紀末に建設された「イェニ・モスク」の複合施設として建造が始まった。18世紀半ばエジプトから輸入された香辛料を多く扱っていたことから、「エジプシャン・バザール(エジプトの市場)」と名づけられたという。トルコ語では「ムスル・チャルシュス」、もしくは「スパイス・バザール」とも呼ばれている。2度の火災に見舞われたが、2013〜2018年に内部が改装されて新しくなった。

 バザール内は単純なL字型をしている。ガラタ橋側の正門から入ると、メインの路地がまっすぐ延びていて、路地の終点と右側には屋外へ続く門があり、左側は路地が続く。香辛料をはじめ、ロクムやバクラヴァといったトルコのスイーツ、ハーブティ、カラスミ、アロマ製品、アクセサリー、土産物、衣料品や日用品などの商店が並んでいる。

 食料品店ではたいがい店頭で試食させてくれるので、味を確かめてから選ぶことができるので、遠慮なく試食できるか聞いてみよう。
 

 メインの路地の終点右側にある門を出ると、トルコで最も人気のあるコーヒー豆店、1871年創業の「メフメット・エフェンディ」がある。コーヒー好きならぜひ立ち寄ってほしい店だ。いつも行列が絶えないものの、目にもとまらぬ早さでコーヒー豆を袋詰めしてくれるので待ち時間は短い。トルココーヒー用のパウダーか豆か、選ぶこともできる。

 ガラタ橋から正門に向かって右側の屋外には、チーズやオリーブ、ドライフルーツなどの商店が並び、右側の屋外はフラワーマーケットで、花や野菜、それらの種、ペット用の熱帯魚やインコなどが売られている。

 日本への直行便の出発時刻は深夜なので、食料品を買うなら、最終日に「エジプシャン・バザール」に行くべし。「グランド・バザール」と同様に、こちらでも価格交渉は必須。店頭で真空パックにしてくれるので安心だ。

Mısır Çarşısı(ムスル・チャルシュス)

所在地 Mısır Çarşısı No: 92 Eminönü, Fatih, İstanbul
http://www.misircarsisi.org.tr/en/

Mehmet Efendi(メフメット・エフェンディ)

所在地 Tahmis Sokaği 66, Eminönü 34116, Istanbul
電話番号 0212-444-22-00
https://mehmetefendi.com/eng/

2022.12.04(日)
文・撮影=たかせ藍沙