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 イスタンブールは、ヨーロッパ大陸とアジア大陸に跨がる交通の要衝にあり、ローマ帝国、ビザンティン帝国、オスマン帝国の首都として栄えてきた。1923年にトルコの首都がアンカラに移って以降も人口は増え続け、今では世界でも上位にランキングされる大都市圏のひとつだ。

 旧市街には、オスマン帝国時代のトプカプ宮殿、ビザンティンの「アヤソフィア」や、世界でもっとも美しいモスクのひとつ「ブルーモスク」など、歴史的建造物が多数残されていて、世界各地から多くの観光客が訪れている。イスタンブールで今回ご紹介するのは、旧市街から金角湾に架かる橋を渡った北側にある新市街。「新」といっても500年以上の歴史がある街だ。

 新市街の北部に位置するニシャンタシュ地区は、日本で例えるなら東京の銀座といったところ。インターナショナルブランドの高級ブティックやアートギャラリー、地元のデザイナーや工芸家のショップなどが集まっていて、感度の高いクリエイターたちの情報発信の場にもなっている。

» 後篇「東と西が混ざり合う魅惑の都市 イスタンブールに吹く新しい風 最旬クリエイターを巡る旅へ」も読む


アナトリア地方からインスピレーションを得た、サステナブルな婦人服「ラグ・ヴォン・シガ」

 2010年に創業した「ラグ・ヴォン・シガ」は、エレガントなデザインの婦人服ブランド。創業者で、クリエイティブディレクターでもあるギュル・アーウシュさんは、ミラノでデザインを学んだ。

 自分の名前のブランドを立ち上げたいと思ったとき、ミラノではなく、故郷トルコのアナトリア地方の文化にインスピレーションを得たという。

 サステイナブルなオーガニックの素材にほどこされた刺しゅうには、アナトリア地方の伝統的な柄を多用。チューリップはその代表的なモチーフだ。トルコはチューリップの原産地でもある。オーガニックで肌触りがよく、身体を締め付けないシルエットは着心地も抜群。ナチュラルで温かみのあるデザインとなっている。

 コロナ禍では、アロマの開発も手掛けたという。ショップ内には「ホームメイド・アロマテラピ」とコラボしたバラの香りのラインが置かれている。

 ギュル・アーウシュの名前の「ギュル」とは、トルコ語でバラの花のこと。ショールームは、まさにアナトリア地方のようなバラの香りに包まれている。

Lug Von Siga (ラグ・ヴォン・シガ)

所在地 Harbiye Mah. Maçka Cad. Narmanlı Apt. No:24 D:17, Teşvikiye 34367 Şişli, Istanbul
電話番号 212-327-50-88
https://lugvonsiga.com/brand-story/
https://www.homemadearomaterapi.com/hakkimizda/ (ホームメイド・アロマテラピー)

2022.10.29(土)
文・写真=たかせ藍沙