この記事の連載

 先ごろ来日した現在のフォションの社長であるサミー・ヴィシェル氏。

 日本上陸50年の記念商品や、1886年に創業以来、変わらぬ理念や受け継いでいること、時代に応じて変化していることなどを伺いました。


フランスの食に対する理解と愛情が深い日本の方々にメルシー!

「日本人のフランスの食の世界に対する愛情は、我々とガストロノミーに対する考え方が似ているからではないかと思います。具体的には、料理をするうえでも食べるときにも“繊細さ”があり、食材は最良のものを求め、食べ物のテクスチャーにこだわり、複雑性を好むなど」

「食の歴史においてもどちらもノウハウの蓄積があり、フランスと日本では食材が違うくらいと言ってもいいかもしれません。そのことが、日本橋髙島屋のフォションの海外店舗1号店として結実した大きな理由だと思います」(ヴィシェル氏)

「日本上陸50年を祝う企画として、ペストリーコンテスト“I Love FAUCHON”を開催します。優勝者にはノルマンディー地方ルーアンに今年開校した L’ECOLE FAUCHON を体験していただきます。日本とフランスがガストロノミーでつなぎたいという想いからです」(ヴィシェル氏)

 また、日本上陸50年を記念した魅力的な商品も発売されました。ジャムに比べてより滑らかな新食感を追求したフルーツソースは、砂糖を控えることでフルーツそのものの味わいが際立つソース。サバラガムワ、ディンブラ、ウバという茶葉の産地を厳選したセイロンティーは各産地独特の香りと味わいを楽しめます。

「厳選された最高の素材を使うことは創業時から変わりませんが、最近は特に高品質なフランス産の素材を使う姿勢を極めていきたいと考えています。フォションの信条を体現するメイドインF(=メイドインフランス&メイドインフォション)です」

「また、時代に応じて変化してきたフォションですが、最近は日々の買い物は住まいに近い場所がいい、ということから小さなショップを駅や町の各所に増やしています。一方でパンデミックが加速させたのがオンラインショップの拡充です。フォションの商品は70%以上が贈りものとして購入されているため、贈られた人がハッピーになるものを、自信をもって提供していきたいと思います」(ヴィシェル氏)

 現在、約2,000種ものアイテムを扱っているというフォション。「革新」「伝統」「品質」という信条に基づいてフランスのガストロノミーを日本に発信するアンバサダーであり続けるでしょう。

 そして、「善良であれ、ユニークであれ」(オーギュスト・フォション)この言葉の真意が体現されたフォションの製品はこれからも人々を魅了し続けます。

【前篇】フォションの歴史を見る

フォション

http://www.fauchon.jp/

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2022.11.23(水)
文=齊藤素子