女性にエールを送る作品
――演出家・小林 香さんとこれまでお仕事をご一緒してきた中で、印象に残っているエピソードがあったら教えてください。
柚希 小林さんの作品には、その時の私にエールを送ってくれるような台詞や歌詞があり、いつも感動するんです。今回の台本もしっかり読ませていただきましたが、今の私にメッセージやパワーをくださるようなことが含まれているように感じました。女性を元気づけたいという思いが作品に込められているので、ご覧になる女性の方のそれぞれの心に刺さる何かがあるのでは? と思います。
美弥 小林さんがおっしゃったひと言というよりは、台詞やダメ出しを通して、自分の人生を肯定してくださるような感覚があります。私の個性を受け止めてくださって、ありのままの自分を舞台の上でさらけ出すことができるように導いてくださいます。自分自身にもその思いがある言葉を素直に言えるからこそ、お客さまにもよりダイレクトに伝わるのかもしれないですね。
宝塚の退団後に味わった人との関わり方
――新しい作品に取り組むときの心境について教えてください。
柚希 宝塚は組全員で新しい作品に挑むのですが、宝塚を退団してからのやり方に慣れるのに何年もかかりました。“はじめまして”から始まって、人見知りしている間に何日も経ってしまって、やっと絆が生まれたと思った途端に終わってしまうということに、なかなか慣れませんでした。最近になって少しずつその状況に適応しつつあります。今回は小林さんから“リラックスして楽しんでできるようにしておいたよ”と言っていただいたので、ありがたいです。私はとても緊張するタイプなのですが、今回は、初対面ではない、るりるりがいるのは大きいですね。
美弥 私も人見知りなので、話しかけようか、それとも人見知りらしく黙っておこうか悩むんですが、ありのままでいたほうが本当に自分と波長が合う方と話せるようになるんだと気づきました。自分を偽る必要なんてないのだと。脚本と向き合うことに意識を置いていく方がいいんじゃないかと最近は思います。
2022.11.19(土)
文=山下シオン
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=後藤則子(no.23) (柚希さん)
清原愛花(美弥さん)
ヘアメイク=佐藤エイコ(ilumini.)(柚希さん)
AYA(TRIVAL)(美弥さん)