たくさんのお客さんに愛されていて、幸せな看板ネコだなぁ
塚田さんがこの場所にお店を構えた18年前、このあたりにはノラネコがたくさんいて、マンションの住人が捨てた生ごみに毎日のように群がっていたという。
近隣からは苦情が出ていたものの、なかなか状況は変わらず、塚田さんが「全頭の避妊・去勢手術をする」と決めて、とても警戒心の強かった彼らを時間をかけてなつかせて、十数頭のネコたちを徐々に捕獲。避妊・去勢手術をし、「1代の生をまっとうさせる」ことに注力した。
その十数頭のネコのうち、「つか田」に入ってきたネコが、チビ太とみかんだった。
生後1カ月ほどの、まだ手のひらにのるほどの大きさだったチビ太は、最初から店になじみ、誰が来ても動じない、人懐っこい看板ネコとなった。
一方みかんは、「つか田」に出入りし始めた頃、すでに大人だった。
もとノラネコだけに警戒心が強く、なかなか心を開かずに人見知りをする傾向にあるが、当然のことだろう。
何年も通っている常連さんだけに、心を開いているという。
塚田さんが、テーブル席の準備を始めた。
「本日のおすすめ」は、黒板に書かれてある。
焼き魚やお刺身、煮物などなど。今すぐ食べたいお料理ばかり!
小松菜の煮びたし、かぼちゃの煮つけ、肉じゃが……etc。
そう、「つか田は」近隣の会社員たちの「心のオアシス」なのだ。
まさに、お母さんの家庭料理。
ちなみに、箸置きもネコなのだ。
「ネコがお店にいると、お客さんがネコグッズをいろいろ持ってきてくれるんですよ」
と塚田さん。
こういうお店って、実はとっても多い。
お客さんが、お店のネコのことを心底かわいがっているのがとてもよくわかる。
カウンターには、ネコの貯金箱も。
お客さんが、「お釣りをみかんとチビ太のフード代に」と、貯金箱に入れて行ってくれるのだそう。
たくさんのお客さんに愛されていて、幸せな看板ネコだなぁ……と思った。
2013.10.25(金)