「ハッとして! Good」はもともと違うタイトルだった
――「ハッとして! Good」は、元々「Sweet Situation」という題名がついていたところ、サビの歌詞を気に入ったジャニーさんのアイデアで「ハッとして! Good」に変更したという逸話は本当でしょうか。
その通りです。鋭い嗅覚で、多くの人の心をつかむフレーズを見抜かれたのだと思います。
――その後、ソングライター宮下智として、田原俊彦さんの「キミに決定!」(作詞作曲)、「原宿キッス」(作詞)、「NINJIN娘」(作詞作曲)など、数々のヒットを飛ばします。
ジャニーさんもすごい方でしたが、トシちゃん担当のディレクターだった、ポニーキャニオンの羽島亨(はじま・とおる)さんもとても才能がおありでした。「キミに決定!」という決め台詞のバックに、キンコンカンコーンと鐘の音を入れたり、面白いアイデアをたくさん彼が提案してくれました。羽島さんの才能は素晴らしいですね。
――「NINJIN娘」の歌詞も斬新でした。
「白けりゃダイコンダイコン、黒けりゃゴボーゴボー」なんて歌詞が通ってしまうなんて、どんな世の中なのだろうと、自分でも書いていて思いました。バブルという時代もあったのでしょうね。
でも、良い歌を作ろうと思って努力しても、こういうお仕事は努力の方法が見つけづらい面もあります。締め切りが迫っても曲が作れないときは、何か良いアイデアはないかとレコード屋さんに行って、他の人の曲を聴いてみるんです。それで「ああ、こういうふうに使えるな」とか、頭で考えて作るんですけれど、ダメなんです。インパクトがないのね。フッと思い付くフレーズの方が良いものが出来るから、努力のしようがない。それで、すごく困ったこともありました。
2022.10.16(日)
文=石津文子
撮影=深野未季