この記事の連載

 世田谷区奥沢にあるチョコレートショップ「世田谷トリュフ」のショコラティエ、ウォーマック夕美子さん。ウォーマックさんは、1980年代に宮下智の名前で田原俊彦の「ハッとして! Good」や、少年隊の「まいったネ 今夜」など、ジャニーズのヒット曲を数々生み出した作詞作曲家でもある。ヒットメーカーとして活躍した彼女は、1991年に結婚を機に渡米。そこからなぜ職人の道を選んだのか。波瀾万丈の半生を語っていただいた。(全3回の2回目。1回目3回目を読む)


――宮下智として作詞作曲した田原俊彦さんの2作目シングル「ハッとして! Good」はチャート1位の大ヒットになりました。田原俊彦さんはこの曲で1980年、数々の新人賞に輝きます。息切れしながらも一生懸命に歌う、当時の田原さんの姿が印象的でした。

 今のトシちゃんは本当に歌が上手くなって、還暦を過ぎているとは思えないくらい進化を続けていますよね。彼は本当に努力家で踊りは言わずもがな素晴らしい。61歳になった今も、あんなに足を上げて、3回もターンできるなんて信じられません。

 でも、若い頃の、歌があんまり上手すぎない感じも、トシちゃんの魅力でしたよね(笑)。「ハッとして! Good」の歌入れのとき、スタジオにお邪魔したんですけれど、何度も録り直してとっても時間をかけていたんですよ。3年前、25年ぶりにテレビ番組でトシちゃんと再会したときは、いろんな話をして盛り上がったんですが、テレビでは放送出来ないことが多かったらしく、撮り直しになりました(笑)。日本のテレビって、そういうところが面白くないなぁなんて思ってしまいました。

 時間なんてあっという間ですね。もう、ジャニー(喜多川)さんもメリー(喜多川)さんも亡くなってしまって……。

――当時のジャニー喜多川さんの印象はいかがでしたか?

 ジャニーさんは、当然と言えば当然なのかもしれませんが、普通の方ではないという印象でした。ちょっと怖いのだけれど、それは威圧感から来る怖さではなくて、何を考えているか分からない怖さというか……。でも多方面に才能があって、プロデューサーとして最高の方だと思います。

2022.10.16(日)
文=石津文子
撮影=深野未季