滝子のセリフで好きなのは――

――今回演じられる滝子は、図書館勤めの独身女性で、姉妹のなかで最もカタい人物ですね。

 はい。滝子は、おそらく男の人と付き合ったことがない……それについて悔しかったりもするし、ネガティブな感情を持っている。特に妹の咲子に対しては、やや態度がきついし、八つ当たり的なこともしてしまいます。

――滝子のセリフで、特にお気に入りのものはありますか。また、その理由を教えてください。

 「あたし、ノオが多いかな」 というセリフが好きです。言うにしても聞くにしてもドキッとする言葉だし、これに対応して「イエスの多い女がモテる」というセリフの応酬も、滝子の心をぐらぐら揺すります。

――巻子の夫・鷹男とのやりとりの場面ですね。

 脚本を読んでいて、時代が変わったな、昭和50年代ってこういうことだったんだろうな、と感じるところはあります。でも、向田さんの言葉で書かれていると、令和4年のいま聞くと、ちょっと腹が立つような言葉も、ドラマとしてすごく生き生きとしている。新鮮なんです。

 女性だけでなく、男の人がきちんと描かれているところも面白いですね。

 四姉妹の関係は、嫉妬というよりは、「私が幸せになりたい」。他の姉妹が幸福であるのはいいけれど、「自分が幸せになりたい」という気持ちを、みんなが持っているんじゃないか。そういう気がします。

――それぞれ一人二役を演じる岩井さんと山崎さん、そして四姉妹。出演者がたったの6人です。6人でこのドラマが出来るのか、と驚きました。

 はい。6人だけなんです。四姉妹以外の役も含めて、どういう風に演じられるのか。小道具や舞台美術も含めて、面白い“戦い”をきっと楽しんでいただけると思います!

安藤玉恵(あんどう・たまえ)

早稲田大学在学中に俳優として活動を開始。主な出演に、連続テレビ小説「あまちゃん」、映画『夢売るふたり』(高崎映画祭最優秀助演女優賞受賞)、舞台『命、ギガ長スW(ダブル)』、ドラマ「阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし」「拾われた男 Lost Man Found」など。

モチロンプロデュース【阿修羅のごとく】

[作]向田邦子 [脚色]倉持 裕 [演出]木野 花
[出演]小泉今日子 小林聡美 安藤玉恵 夏帆・岩井秀人 山崎 一

[東京公演]9月9日(金)~10月2日(日) シアタートラム
[兵庫公演]10月8日(土)~10月10日(月・祝)  兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
※9月14日(水)18時開演の回に配信予定あり
【配信チケット取り扱い】 チケットぴあ https://w.pia.jp/t/ashura/
お問合せ:大人計画 03-3327-4333(平日11:00〜19:00)
https://otonakeikaku.net/2022_asyura/

阿修羅のごとく (文春文庫)


定価 814円(税込)
文藝春秋
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2022.09.01(木)
文=文春文庫部