東京・蔵前の松木商店は、国産や海外の花火が豊富に揃い、1本から購入可能。今回は予算3,000円以内で、大人も楽しめるおしゃれな花火を店主の海老澤さんにセレクトしてもらいました。
線香花火は東西で異なる?
好きな花火は? と尋ねると多くの人が挙げるであろう、線香花火。小さい頃は線香花火の取り合いをしませんでしたか。
花火界の人気者、線香花火ですが、実は東西で違いがあることを教えてもらいました。
線香花火は大きく分けて2種類あり、一方は藁の先に火薬をつけた「スボ手牡丹(てぼたん)」、もう一方は紙で火薬を巻いて作られる「長手牡丹(ながてぼたん)」です。
米作りが盛んだった西日本では藁がたくさんあったこと、東日本は紙すきの文化が盛んだったため、このようなつくりになったと言われています。
火薬の量に若干の違いがあるので、「スボ手牡丹」は勢いがあって火のつき方にメリハリが。海老澤さん曰く、その分火花が一瞬で散らないようにいい塩梅を見つけるのが、ツウの楽しみ方だそうです。
対して火を灯してから散るまでの、火花のバランスがとれているのが「長手牡丹」。今ではこちらの長手牡丹がよく見かける線香花火になりましたが、どちらが優れているというわけではないので、両方購入して火花の違いを楽しむのが良さそうです。
線香花火は、燃え方にも4段階あり、それぞれ美しい名称がついています。
点火の瞬間は「蕾」、パチパチと火花が散る様子を「牡丹」、勢いが増し最高潮に火花が飛ぶ様子を「松葉」、振り絞るかのように燃え尽きる最後の姿を「散り菊」と言います。
両方とも貴重な国産花火。趣のある美しい文化を後世にも繋いでいきたいものです。
ギフトにも最適 センス溢れる国産花火
線香花火ばかりが主役になりがちですが、こんなユニークな花火もあります。
福岡県で花火を製造している「筒井時正玩具花火製造所」が生み出した「吹き上げる 鯨花火」。
初めは優しく、そのあとは一気に噴き上げる潮のように火花を出す鯨の姿は、圧巻の一言です。
続いては、凛とした佇まいに“わびさび”を感じる富士山の花火。
富士山の火口から炎が一気に噴出する姿は、美しくもあり、富士山の雄大さを想起することができるダイナミックな花火です。煙がたゆたう様子を眺めるのも粋なもの。
2022.08.12(金)
文=CREA編集部
撮影=鈴木七絵