気になる花火を1本1本選ぶ
どぉーん。
夏の夜、遠くで音が鳴り、視線を向けるとキラキラと光るものが。その姿をみたら「あっ花火」と呟いてしまうだろう。
夏の風物詩のひとつ、打ち上げ花火。コロナ禍による影響で花火大会は中止を余儀なくされたが、今年は迫力満点の花火を拝むことができている地域も。
打ち上げ花火もいいけれど、今おすすめしたいのは、より手軽に楽しむことができる「手持ち花火」だ。
夏になるとスーパーやコンビニで見かける手持ち花火は、“バラエティパック”、“大入り!”などと目を惹くデザインで、私たちの心を躍らせる。きっと多くの人が、このようなパック詰めになったものを購入しているだろうが、手持ち花火を1本1本選ぶ、という楽しみ方があるのをご存じだろうか。
“東京のブルックリン”と称される蔵前。
蔵前駅から約1分の距離にある、ここ松木商店では、セレクトショップ感覚で手持ち花火を1本から購入できる珍しいお店だ。
店内に入るとずらりと並ぶ花火。「今は……、470種類くらいあるんじゃないかな」そう話すのは、店主の海老澤さん。
「この辺りは玩具や文具の問屋街として発展してきたんだよ。昔は100軒くらい問屋があったんじゃないかな。うちは花火に携わって45年くらい。手持ち花火を小売りして、一般のお客さまに販売し始めたのは、うちが最初。妻と知り合ったのも花火がキッカケだよ(笑)」
「写真に撮られると魂が……」。なんて言いながら、1枚だけ撮影させてくれた。
「コロナ禍で大変だったけど、子どもたちを喜ばせたいと買いに来てくれる人もいるし、応援してくれるお客さまもいる。花火は夏のものってイメージが強いかもしれないけど、うちは年中開けているよ」
取材当日も、以前選んでもらったものがよかったから、と訪れている方がいた。
「予算とか、シチュエーションとか相談してくれたら、ぴったりな花火を用意するよ。花火を盛り上げるには順番もあるから、それも伝えます。夏は忙しくなるから、事前に電話してもらう方がありがたいね」
2022.08.12(金)
文=CREA編集部
撮影=鈴木七絵