森の景色を料理で描き出す富士山麓ガストロノミー

◆Restaurant Toyoshima(レストラン トヨシマ)

「ジビエ好きはもちろん、ジビエが苦手な方にこそ是非、来ていただきたい」

 そう語るのは豊島雅也シェフ。実はジビエが苦手だったが、地元で獲れた鹿肉の美味しさに衝撃を受け、ジビエを極めると決心。

 自ら経験した感動を伝えたいという想いを料理に込める。以前は山梨県全体の食材を使用していたが、今は“富士山麓ガストロノミー”の考えで範囲を近くに絞った。

 「土地を絞ったことで、手に入る食材の旬の時期が大幅に短くなりました。でも、それでこそ、ここに来ていただく意味があると思います」(豊島さん)

 静岡県出身の豊島さん、魚だけは地元から水揚げ数時間で届けられるものを使い、海から富士山麓へと食材の採れる標高を徐々に上げてコースを仕立てる。

 庭のハーブ、山で摘んだ野草やキノコ、白樺の樹液、ジビエも使い、樹海や白樺の林など、皿の上に景色を描き出す。

 フロマージュ・ド・テット(肉のテリーヌ)、ウェリントン(パイ包み)といった伝統的な技法も使い、豊島流に進化させた、生命力に溢れる一皿が味わえる。

Recommended Bottles

〈左〉「共感するところが多い」というワイナリーの一本。「霜 SOU 2021WHITE」(甲州/98WINEs)。
〈中〉「エチケットに描かれている通りに富士山が見える場所で造られています。ハチミツのようなとろんとした味わいがあって大好きです」。「フェリチッシモ ロッソ2017」(ネッビオーロ、ヤマ・ソービニオン/カンティーナ・ヒロ)。
〈右〉「山梨が誇るワインです」と豊島さん。「ツガネ シャルドネ 2017」(ボー・ペイサージュ)。

Restaurant Toyoshima(レストラン トヨシマ)

所在地 山梨県南都留郡富士河口湖町船津3681-2
電話番号 0555-75-0850
営業時間 11:30~14:00、18:00~22:00(閉店)
※ランチ 7,700円~、ディナー 11,000円~ ともに要予約。グラスワイン 900円~、ボトルワイン 6,000円~。
定休日 水曜、第2・4木曜
Instagram @toyoshima2017

Column

CREA Traveller

文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。

2022.07.15(金)
Text=Motoko Saito
Photographs=Takashi Shimizu、Wataru Sato、Nanae Suzuki

CREA Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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