うちの子ベストショット①
「小さい頃の藤はセクシーガールでした。女の子やのにこんな開脚して、、、ドキドキするでぇ。」
――そこから、また2匹増えたんですよね。
東京へ引っ越して2020年の緊急事態宣言中、知り合いから「段ボール箱に入れられた猫を拾ったけど、どうしたらいいかわからない」と連絡をもらったんです。その人は猫アレルギーで、家に犬もいるから飼われへんということやったので、車で千葉のほうまで2時間くらいかけて行って引き取りました。
僕はいつもミルクを卒業させたら里親に出すようにしているので、その2匹もミルクを卒業するまで面倒みようと思ってたんです。けど、エイズ疑惑が出てしまって。
病院の先生に相談したら「陰性になる可能性もあるから、半年は亜生さんが面倒みてください」って言われて面倒をみるようになったんですけど、半年も一緒にいたら愛着も湧くじゃないですか。幸いエイズは陰性になって、結局、飼うことになったのが兆猛と丹猛です。
――捨て猫に遭遇したとして、動物が好きな人なら誰しも助けたいという気持ちは持つと思います。ただ、すぐに保護しようと行動に移せる人はなかなかいない気がするんですけれど。
助六を拾った時は、触ってもうたからにはここに置いておくわけにもいかんなと。雨も降るやろうから、ちょっと保護して元気になったら好きな人にもらってもらおうっていう気持ちでした。
僕が1~2週間、頑張ってお世話をすればいいだけ。2時間おきにミルクをあげて、うんちを出して毎日面倒をみればいいっていう気持ちだけでしたね。
5匹の性格は全然違うけど、面白い
――放っておけないという気持ちから、命を預かる責任が生まれたんですね。
それに、銀次郎を拾ったくらいから猫の虜になっていたんです。
助六は全然懐かへんし、家の中でも姿を見せへん。寝床になってたクローゼットからずっと出てけぇへんし、こたつがあればずーっと中にいるから、“あぁ、今日は姿を見ぃひんかったな”っていう日が結構あったんですよ。
けど、銀次郎が助六と仲よくなって。家に帰って「ただいま」って言うたら、銀次郎が玄関まで出てきてゴロゴロ鳴くからなでていると、助六も一緒に出てくるようになったんです。そういう姿を見ているうちに、“猫ってこんな感じなんや。かわいいな”と思うようになったんですよね。
――5匹の性格はそれぞれ違いますか?
全然違いますね。助六は僕にも懐かないくらい人が苦手で、銀次郎は僕だけに懐いてます。藤は人間が大好きで、兆猛と丹猛はのんびりしてます。
この前、友達が赤ちゃんを連れて遊びに来たんですけど、下の2匹(兆猛、丹猛)は自分から赤ちゃんの近くに行って一緒に寝たりしてました。(突然、ニャーニャーと鳴き声が)すみません、助六がめちゃくちゃ鳴いてて。今、トイレタイムなんですよ。
――(笑)。助六ちゃんは何を訴えかけているんですか?
トイレに行きたい! っていうアピールなんですけど、(助六の中で)したいタイミングでトイレの前にいないといけないっていうルールがあるみたいで、ニャーニャー鳴きながら部屋中、歩き回るんです。トイレタイムじゃない場合もあって、1日5~6回くらい鳴きながら歩き回るんですけど、ほかの猫たちは気にせず寝てます。個性がそれぞれ違うところも、猫の面白さですよね。
2022.05.04(水)
文=高本亜紀
撮影=平松市聖
写真=亜生