町全体をひとつのホテルにする「NIPPONIA HOTEL」
今回滞在先に選んだのは、かねてから気になっていた「NIPPONIA HOTEL 串本 熊野海道」。
町に点在する古民家を、その歴史性を尊重しながら、客室や施設として再生し、町全体をひとつのホテルと見立てる「NIPPONIA HOTEL」の一員。その土地の文化や歴史を滞在しながら感じ取れる複合宿泊施設で、町に活気を取り戻す“エリア・リノベーション”として注目を集めています。
「NIPPONIA HOTEL 串本 熊野海道」は、ノスタルジックな風情漂う新町通り(旧国道)を中心に、3棟5室とゲストハウス4室+コインランドリー、レストラン、カフェからなります。
かつては活気ある商店街だったという新町通りは、昭和から時間が止まったよう。夕方と21時には、スピーカーを通してガランとした町に「串本節」のメロディーが流れます。
滞在した園部邸は、表札もそのまま。家に帰ったように玄関で靴を脱ぎ、縁側のリビングへ。大きな窓からは小さな庭を望みます。前の持ち主も、きっとこの庭を愛でたことでしょう。窓のネジ式のカギが目に留まり、なつかしさを覚えます。
それでいて、15畳はありそうなバスルームは中央にジャグジーを置く今どきのアートなデザイン。水回りがきちんとしているのも、ポイントです。
客室にテレビや時計はなく、夜が深まると、「シーン」という音が聞こえます。梁を見上げ、かつての持ち主を思う滞在。最新のインターナショナルホテルにはない、深い味わいがあります。
橋杭岩
●アクセス JRきのくに線「串本駅」から徒歩20分もしくはバス「橋杭岩」下車
●おすすめステイ先 NIPPONIA HOTEL 串本 熊野海道
https://nipponia-kushimoto.jp/
【取材協力】南紀串本観光協会 https://kankou-kushimoto.jp/
Column
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2021.12.04(土)
文・撮影=古関千恵子