#236 Kushimoto
(串本/和歌山県)
![国の天然記念物、景勝地の橋杭岩。岩にはそれぞれ名前があり、祈っている僧侶に見える“大オガミ岩”(中央)と、その弟子のような“小オガミ岩”(中央右)が印象的です。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/3/1280wm/img_53fa158a559e8d37da63ece12ce470a2101112.jpg)
紀伊半島の南端、台風中継でたびたび耳にする“潮岬(しおのみさき)”がある串本。
かつて潮岬は島でした。潮流によって運ばれた砂が堆積し、砂州を形成。潮岬半島と紀伊半島がつながり、平たい台地状のところに、串本の市街地のほとんどが乗っかっています。
![台風中継でおなじみの潮岬。夕日の名所でもあります。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/f/1280wm/img_6f32354acbbe7f49d3d927aafaa02b68168445.jpg)
![潮岬半島のとあるビーチ。菅田将暉と小松菜奈が共演した映画『溺れるナイフ』のロケ地です。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/4/1280wm/img_1482b9270471ed797433d9f28bd7f3df126180.jpg)
串本は、砂州上で生活する人口の多さが函館に次いで2番目で、日本三大トンボロ地形のひとつになっています。
![市街地近くの上浦海岸。海の色がトロピカル!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/a/1280wm/img_da3c06ae20db21b1ec3d04e1b5528b02116251.jpg)
本州最南端に位置する串本。沖には黒潮が流れていることで、世界的にも珍しいユニークな自然が育まれています。
湿地帯を保護するための国際条約、通称「ラムサール条約」に2005年に登録されています。“湿地帯”というと、沼や湿原のイメージですが、この条約においては水田やため池、干潟、そして水深6メートル以浅の海も含まれています。
串本の海が選ばれた理由は、水面下に温帯と亜熱帯が混ざり合った景観が広がっているから。
串本は北緯33度30分。本来なら、海藻が茂る温帯の海です。それが、沖に流れる黒潮が南方から温かい水をもたらし、亜熱帯のようなテーブルサンゴやエダサンゴなどの群落が形成されているのです。串本のサンゴの群落は、世界でも最北にあたります。
![ミドリイシなどのイシサンゴが浜辺に落ちていることも。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/6/1280wm/img_e623be768a31aed6842a53161dce305a168434.jpg)
![水族館、海中展望塔、半潜水型海中観光船、ダイビングパークなどが集合した、日本初の海中公園、串本海中公園。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/1280wm/img_84784601719e8927c13f3d581287f2d9147843.jpg)
さらに黒潮は回遊魚や南方に生息する魚たち、子育てのためのクジラの親子を運んできます。
2021.12.04(土)
文・撮影=古関千恵子