神戸に小さな牧場があるのをご存知でしょうか? 観光牧場として知られている神戸市立六甲山牧場ではなく、今も乳牛を飼って搾乳し、そのミルクでチーズをつくっている酪農家・弓削(ゆげ)さんの牧場。私はそのフレッシュなミルクやチーズを使った弓削牧場のお菓子の大ファンです。
牧場があるのは神戸市北区。神戸の中心街から車で20分余りで到着。畑を眺めながら坂道を上っていくと牛舎があり、牛たちの鳴き声が聞こえてきます。カモミールの花が咲き乱れ、ヤギもいるのどかな別世界。坂の上の「チーズハウス ヤルゴイ」の前にある屋外のテーブル席で、まずは搾りたてのミルクを飲みましょう。このミルク、とても自然な甘さで飲みやすいのです。
「2006年に搾乳ロボットを導入し、牛たちを24時間完全放牧しているからです」と場長の弓削忠生さん。牛はホルスタインが約50頭。山の放牧地で日光浴をしたり、昼寝をしたり、自由にのびのび過ごしています。夏には木陰の風が通る涼しい所で寝て、子供も山の中で生むのだとか。人間の都合で決まった時間に乳を搾るのではなく、牛たちは搾ってほしくなったら勝手に牛舎に帰ってきます。ストレスのない牛のミルクだから、本当にびっくりするくらい甘さがある。
そんなミルクを牛舎に隣接する工房で瓶詰めし、フレッシュなままチーズに加工。そして、牛ふんは野菜やハーブを栽培する畑の堆肥にし、蜜蜂を飼って野菜を受粉させてハチミツをとる。ヤルゴイでは、ミルクやチーズを使った飲み物やスイーツ、畑の野菜やハーブを使ったフードを提供し、ミルクやスイーツなどを販売。さらには「バイオマスでの発電も考えています」と弓削さん。すごい牧場なのです。
2013.06.23(日)