最近アツかったのは断然「チェリまほ」

K 私がリアルタイムでハマったのは「チェリまほ(30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい)」なんですけど、派手なところはないながら、赤楚衛二くんと町田啓太くんが少しずつ恋をしていく感じがいい。町田くんがすごく好きなんですが、町田くんってLDHの中にいると埋没してしまうんですよ。あの「絶世温柔男」(中国のファンが彼をそう形容するらしい)がですよ! それがLDHの恐ろしさなんですけど(笑)。

 その町田くんが満を持して「チェリまほ」で飛び出してきた! 町田くんが赤楚くんを見る目が優しすぎて……エリートで誰からも好かれて仕事できて、というキャラはマンガならともかく実写で説得力を出せる人はなかなかいないけど町田くんの説得力たるや! “町田力”と“赤楚力”がすごくて演技で引っ張られてずーっと見ていたいって思う。

O 元々原作のマンガを読んでいたんですけど、安達を誰がやるの? って思ったんです。赤楚くんだって発表されて結局イケメン同士なのかぁって思ったけど始まったらちゃんと安達なんですよ! 赤楚くんは仮面ライダーをやるくらいセンターの人なのに!

K 演技の幅ね! この2人が出会って演技を交わしていくケミストリーがすごい。昔から私、3次元の人が見分けられなくて、服や髪が変わるともうダメ(笑)。だから実写をあまり見てこなかったし、今まで3次元の人の演技に着目してなくて。反対に2次元だと自由に描けるから天井がないと思ってたんです。でも「チェリまほ」で、肉体があるからこそ天井知らずだってことに気づいてからは実写の可能性を感じましたね。

E 夜の公園で赤楚くんが介抱してくれるシーンなんか最高。「チェリまほ」って全体的に映像が綺麗で、フィルムっぽい感じで撮っているのがまたファンタジックで良かった。

K なんでこんなイケメンエリートが僕のことを好きになっているのかについて説得力があった。そりゃ好きになるでしょ! って。

O ありました、ありました!

K 「チェリまほ」は、いいなと思いつつ関係者でもないのに、クールを装って“後方彼氏面”で見ていたんです(笑)。そうすると原作との違いがよく分かる。実写にしたら誤解を招くよねって部分とかキャラの好感度が下がりそうなところをうまく整理してて。

E 同僚の藤崎さん(佐藤 玲)の描き方も良かったですね。原作では腐女子なんですけど、ドラマではアセクシャルを思わせるキャラに変えていた。恋愛しないって人を恋愛ドラマで描くのは難しいけど、世の中にはこんな人もいるんだというのを提示したドラマでした。

K でも想像以上にそういう人って多いと思うんです。恋愛しなきゃと思わせられているだけで。今後は恋愛ものだからこそ、他人の恋愛のことは祝福するけど、自分はしないよって作品も出てくるんじゃないかと思います。

E 「チェリまほ」はその点でも脚本家さんのさじ加減が素晴らしかった。

K メディアの特性の違いは大きい。実写でやったら引く行動はあるけど、それをうまく捌いてた。これから実写化される作品は、脚本家も演出家もその捌きが問われると思います。もちろん役者の演技も。

O 今までのBL実写作品は新人の美形を使えばいいと思っていた感じがありましたよね。

K そう。そういう映画を見ると、私たちのために作ってもらってるけど、ごめんな……って劇場を去るわけですよ。

E それが「おっさんずラブ」「きのう何食べた?」(主演:西島秀俊、内野聖陽)「チェリまほ」で変わった。キャリアを積んだ人が演じるようになって、偏見にならないことを証明してくれたのは大きい。

K またすぐLDHの話になっちゃうんだけど(笑)、彼らはイケメンを最もイケメンに見せる画面作りが上手いんです。だからBLドラマもやってほしい。

E 岩ちゃんとか鈴木伸之くんとかね。

K ここはあえてのHIROさんかなと。

E、O 気になるし観てみたい!

K 異性愛を前提としたものが毎週あるなら、同性愛ものも毎週一本やってほしい。毎週と言わず毎日やれって思う(笑)

O 確かに好みが分かれるからこそ色々やってほしいですね。

「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」

30歳童貞と爽やかイケメン恋心丸見えの純愛BL

童貞のまま30歳を迎えたことで「触れた人の心が読める魔法」を手に入れた冴えないサラリーマン・安達(赤楚衛二)。社内随一のイケメンで仕事もできる同期・黒沢(町田啓太)から聞こえてきたのは、自分への恋心だった。ポップで繊細なラブストーリー。

2021.10.03(日)
Text=TV No Sukima
Photographs=Ichisei Hiramatsu
Hair & Make-up=Yoko Fuseya(ESPER)〈Okarina〉

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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