「三浦さんの演出を受けて、友人である桃李さんが、普段見せないような表情を見せていた」
――そして、7月11日からは舞台『物語なき、この世界。』が始まります。舞台では、初めての現代劇、さらに三浦大輔さんとのタッグですね。
はい。三浦さんとは以前、映画『何者』で少しだけお仕事をさせていただいたことがあって、そのときの三浦さんの演出がすごく好きでした。「もっとこの現場にいたかったな」、「また機会があればご一緒できたら嬉しいな」なんて思っていたら、まさか舞台で! 映像だと思っていたので、驚きはありました。
これまで、三浦さんの舞台を何度か拝見させていただいて、センセーショナルで過激な部分もあるので、これまで自分のやってきた舞台とは、また違う色になるだろうなと思って、ご一緒させていただくことになりました。
――『何者』では、どんな演出方法に惹かれたんですか?
ひとつひとつのシーンの理解力と、僕たちに求めるハードルがものすごく高いので、そのハードルを越えるために、リハーサルがものすごい必要なんです。リハーサルを重ねるごとに、シーンの意味と自分の役の心の動きが、明確に見えてくるんです。そうやって追及していく三浦さんの演出が素晴らしく、妥協しない姿勢を尊敬します。そのリハーサルの時間が、僕はすごい好きでした。
舞台の稽古の時間の中で、ひとつひとつ丁寧にやっていく作業は、たぶん僕には合うだろうし、すごく深い関係になれるんじゃないかな……って(笑)。
――以前、『娼年』で三浦さんとご一緒されていた松坂桃李さんが、取材時に「共犯関係」という言い方をされていたんですが、「すごく深い関係」とおっしゃった岡田さんも、近いニュアンスでしょうか?
ああ、そうですね! 僕も『娼年』を観させてもらったんですけど……あのとき、友人である桃李さんが、普段見せないような表情を見せていたんです。「普段会ったときの松坂桃李」じゃなくて、やっぱり「三浦さんの演出を受けている松坂桃李」になっていて。僕にとっては、すごく美しく見えたんですよね。
いい演出を受けて、いいお芝居をすると、プライベートから意外に変わっていって、というのを桃李さんも言っていたので。
――舞台の感想や、そうしたお話も、松坂さんとなさるんですね。
コロナ前は、ふたりでごはんを食べることが多かったので、そうですね。役者としても、友人としても、すごい大好きな方なので。そんな彼が、少しずつ追い詰められていくお芝居は、見応えがありました。
僕は「これ、今回、自分でできるのか⁉」というのもあったんですけど、「次、三浦さんとやるんだ!」と桃李さんに言ったら、「おおっ! 頑張れ!」と言ってくれました。あまり構えずやっていきたいです。
2021.06.15(火)
文=赤山恭子
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=TAKURO
ヘアメイク=小林麗子(do:t)