とにかくアンパンマンの世界にいられることが幸せでした

――今回演じるのは、雲の国で生まれた雲の赤ちゃん、フワリー役。

 実は映画の公開は1年ほど遅れてしまったんですが、去年、妹がクレーンゲームでフワリーちゃんのぬいぐるみを見つけて取ってくれたんです(この日も深田さんの手にはそのぬいぐるみが!)。

 それからずっと枕元に置いてあったので、フワリーちゃんにはすごく愛着がありました。

 妹の家にももうひとつあるのですが、甥っ子はそのフワリーちゃんのぬいぐるみとアンパンマンのタオルがないと眠れないみたい。それくらい気に入ってくれているのはすごく嬉しいです。

 甥っ子は声優の意味がまだわかっていないので、映画を見ても私の声だと理解できないかもしれませんけどね(笑)。

――アフレコはいかがでしたか?

 一応、家で声を出してみたりしたんです。でもフワリーちゃんの赤ちゃんの時期はどれくらい“赤ちゃん感”を出せばいいのか試行錯誤で……。

 現場に行ってひとまず演じてみて、監督からアドバイスをいただきながら取った感じです。

 台本もドラマや映画とは違った独特な書き方ですし、正解がよくわからない中で精一杯やらせていただきました。

 とにかくアンパンマンの世界にいられることが幸せでしたね。

――普段のお芝居でも、声は重要な要素ですよね。

 役柄によっても出し方が違うので、長年お仕事をさせていただいていますが、やっぱり正解がまだわからないです。

 私自身の声は、そんなに好きな声ではないんです。ちゃんと声が響き渡る聞き取りやすい声とか、とまどいのない声に憧れがありますね。

――物語の魅力はどんなところに感じましたか?

 とにかくフワリーちゃんが天真爛漫ですごくかわいいんです。偶然ばいきんまんたちと出会い、ドキンちゃんにフワリーと名付けられるんですが、この作品で今までとは違うドキンちゃんが見られた気がします。

 結構自由奔放なイメージだったけど、今回はフワリーちゃんに言葉を教えてあげたり、こんなに優しい一面があるんだと思いました。ドキンちゃんとフワリーちゃんの絆にも注目してもらいたいです。

――フワリーちゃんは雲を操る不思議な力を持つレインドロップを持っています。もしも深田さんがレインドロップを手に入れたら、どんなことをしたいですか?

 自分の分身が欲しいです。「今日はお願いね」と仕事を順番に分担したりして(笑)。手分けできたらいいですね。

2021.06.12(土)
文=松山 梢
撮影=松本輝一
スタイリスト=亘つぐみ@TW
ヘアメイク=板倉タクマ(ヌーデ)