ドラマ、ミュージカル、バラエティ…… ボーダーレスな挑戦
――この作品を通してどんなことを伝えたいですか?
僕はこれまでもサラリーマンを演じる機会が意外と多くあったのですが、職業に関係なく、どんな方も上司や権力に対する不満や偏見、モヤモヤした感情などを抱えていると思うんです。僕自身も共感できる部分はありました。見終わった後に、気分良く、スカッとした気持ちで帰っていただけたらと思います。
ストーリー的な結果としては、香芝は主人公なのに何ひとつ報われてはいません。しかし、自己中心で偏った考えを持っていた彼の何かが変わって、彼の人生で新たな一歩を踏み出し、前進していくことには、ある程度共感していただけるのではないかと思っています。
最後の楽曲もすごくテンションが上がる曲なので、皆さんにも納得していただけるのではないでしょうか?
――最近は歌舞伎以外の世界でのご活躍を目にしますが、いろんなことに挑戦するその原動力はどこにあるのでしょうか?
僕は何よりも歌舞伎が好きで、歌舞伎を演りたいというところからすべてが始まっていて、そこに存在し続けるにはどうすればいいかという危機感や不安は常にあります。
だからこそ、チャレンジングに励んだり、自分ならではのスタイルを見出して確立しようとしています。自分の居場所を築こうと考えているからなんです。
歌舞伎以外のことに積極的に取り組んでいるのはそのためで、こうした挑戦が結果的に、自分自身の役者として、人としての幅を広げることにも繋がっているのだと思います。
2021.03.13(土)
文=山下シオン
撮影=佐藤 亘
スタイリング=椎名宣光
ヘアメイク=岡田 泰宜(PATIONN)