本に関する何かをしたいという思い
ふたりでお店を出そうと決めたときに、「本に関する何かをしたい」と感じた。
出版社に勤務していた井戸川さん、そして書店を営んでいた飯田さんをつなぐのが「本」だったから。
いま、カウンターには、須賀敦子著の文庫「ユルスナールの靴」がおかれている。
「毎月1冊のペースで“コーヒーのお供に読んでいただきたい本”をピックアップします」
ふたりでどの本にするか決めている。その本が気になれば、私たちは買って読むこともできる。
丁寧に作られたケーキはどこか懐かしい味
フードは、甘さ控えめ「バナナブレッド」、大人気の「キャロットケーキ」、ほっこりした気持ちになる「はちみつのケーキ」の手作りケーキなどがある。
朝いちばんに店主は、「クロワッサン ミニ」(260円)、「パン オ ショコラ」(330円)、「クイニーアマン」(330円)の焼き立てをカウンターに並べる。焼き立てのパンの香りでお店が満たされるしあわせ。
カウンターの奥にかけられている井戸川さんのお気に入りの写真は、写真家・柏田テツヲさんの作品。
「モロッコの雪景色ってめずらしいですよね。モロッコは砂漠のイメージが強いですけど、アトラス山脈があるので、雪も降るんだそうです」
スタイリストの金子夏子さんに紹介してもらった。
「写真に物語性を感じるので、先のストーリーをおのおのが感じることができると思います」
紅茶もおいしいので、こちらもぜひ試してほしい。オーガニック紅茶は宮崎の農園のもの。
お店にはすでに常連がたくさんいて、通りすがりにご近所さんが毎日のように顔を出していく。
2021.03.07(日)
写真=志水 隆
文=CREA編集部