CREA編集部員のHです。CREAに異動してから、毎日甘いものを食べる生活に。試食ならしようがないけれど、必要のないものまでついつい食べてしまう日々が続いていた。

 さらに、この1年はリモートワーク期間が長くなり、仕事を終えてからお酒を飲んで気分転換する癖ができた。

 アルコールを摂ると、おなかがいっぱいという感覚が鈍くなり、どうしても食べ過ぎてしまう。この数カ月で3キロも太った。

 そんな時、こちらのコラムでお世話になっている鍼灸院「Harriet 六本木院」が「Harriet TOKYO」としてリニューアルオープン。これは天啓? この機会に断食に挑み、身体を整えなさいということか。

 Harrietはゴッドハンドのいる鍼灸院として有名。通院する人の多くが、体質改善を目的とした3日断食に挑戦するのだ。

後編「ゴッドハンドのいる鍼灸院​」

【トライした人】

編集部員H
40代 159cm
慢性的な貧血体質。自律神経の不調で不眠に悩んでいる。糖質依存とアルコール依存にまっしぐら。

体重 52.9kg/体脂肪率 28.5%/ウエスト 66cm → 体重 47.8㎏/体脂肪率 26.7%/ウエスト 62cm


サプリもいったん全部お休み

●1日目

 今日から断食スタート。朝から水をたっぷり飲む。断食中は、1.5~2リットルの水を飲むことを推奨されている。お茶もコーヒーも基本的にはNG。ただひたすらに水を飲む。

3日断食中には…

毎日鍼灸院に通う。
水をたくさん飲む。1日に1.5~2リットル。
身体をあたためる。
服用しているサプリなどをいったんやめる。

 編集部でランチタイムにお弁当のおいしそうな匂いを嗅ぐと、「今日のお昼何にしようか」とふと思ってしまった。「違う違う、今日は断食の日だ」と気を確かに保つ。

 断食中は、普段服用している貧血用の鉄剤はできれば飲まないほうがよいとのこと。サプリなどもいったんやめる。すべての摂取をやめて、身体全体をデトックスするのが目的だ。

 夕方に「Harriet TOKYO」でマッサージと鍼灸をしてもらう。

 総院長の宇田川直人さん曰く「1カ月前の食生活がお腹にあらわれ、1週間前の食生活が舌にあらわれる」のだとか。

 ひと月前はお正月だったので、おなかいっぱい食べていた私の胃は張っていた。

 胃は筋肉できていて、何も入れなければ拳ひとつ分のサイズしかない。それが食べ物でパンパンに張っているとしたら、私は胃に申し訳ないことをしていたと謝りたくなった。

 おなかの4カ所に鍼を打たれると、空腹感を感じなくなるからとても不思議だ。

 首には自律神経を整えるツボ「天柱(てんちゅう)」があり、安眠を促す。

 この他にやせるツボ合谷(ごうこく)や、心を冷静にするツボ太衝(たいしょう)に鍼をしてもらう。

 宇田川先生に「足の先が冷えているので、お灸をするといいですよ」と勧められた。

 実は、初日から思いがけず生理が始まっていた。生理中に断食していいのか不安だったが、かえってデトックスに有効だと励まされ、予定通り断食にトライすることに。宇田川先生は、貧血を解消するツボ「血海(けっかい)」にもお灸をしてくれた。

 断食による体質改善の基本的な考え方は、胃腸を休めることで、消化にとられていた体力を活用し、全身の細胞修復を促すということだ。

 鍼灸の帰り道は、身体がポカポカして汗ばむほど。家に帰ってもおなかがすいている感覚はなし。おなかに鍼を打った影響だと思う。

 何もせずに寝た。おなかがすいて眠れないのではと不安だったが、首への鍼の効果でぐっすり。

激しい頭痛に苦しむ

●2日目

朝の体重 51.8㎏ 体脂肪率 28.5%

 今日はリモートワークの日。朝から何も食べないで働く。水をひとくちずつ噛んで含めるように飲む。

 昼ごろから頭がボーっとする。普段、糖分を取りすぎると出る症状だと言われている。

 午後は頭が締め付けられるように痛くて、仕事にまったく集中できない。

 頭痛が厳しいときに飲んでもよいと許可されているスポーツドリンクを、100ミリリットルほど飲む。少し和らぐがまたすぐ頭痛。

 夕方にはマッサージと鍼。

 Harrietに到着後すぐに出されたスープは、昨日の2倍くらい味が濃く感じた。

 朝から続いた頭痛と、ときおりあった吐き気について宇田川先生に相談すると、頭痛は断食中に多くの人が経験する症状だそう。

 胃から胃酸が出るときに背中がかたくなって、その影響が頭痛となってあられると考えられている。

 こういった症状が出るので、独力での3日断食は勧められない。鍼灸院に毎日通いながら行う必要がある。

 宇田川先生からは、頭痛解消のため、オプションで「頭皮低周波」を勧められた。

 「百会(ひゃくえ)」など、頭の4カ所のツボに打った鍼に電流を流す。

 これがてきめんに効き、すっきり元気になる。

 来るときはふらふらで、「帰りは絶対にタクシーで帰ろう」と思っていたけど、電車で帰るくらいの力が湧いてきた。

 お灸もしてもらって、全身ポカポカ。この日もおなかがすいたひもじさはなく、深くよく眠れた。

朝にバスタブ入浴の勧め

●3日目

 朝の目覚めはあまりよくなく、もっと寝ていたいと思ったが、よいしょと起き上がる。

 朝からバスタブにつかって体をあたためたら、シャッキリした。これも宇田川先生に勧められた養生方法。入浴で血行をよくするのは、体質によっては朝が効果的とのこと。

 この日、たまに頭痛は感じたものの、スポーツドリンクを少し飲んだらおさまり、集中して仕事ができた。

 昨日のつらさが嘘のよう。空腹を感じることもない。

 今日も夕方に電車に乗って六本木へ。

 いつものマッサージ、鍼、灸のメニューに加えて、美容鍼も加えた。

 3日断食の間に美容鍼をするととても効果があるとのこと。

 頭皮低周波と合わせて、頬があがった気分。

 目も大きくなったと褒められる。

 帰宅後、顔を洗うときに触った肌の感触がいつもと違う。いつもより柔らかくすべすべしているような。

 今日も早く寝る。

 3日間の断食期間中、いつもの倍は睡眠をとった感じ。1日約12時間は寝ていたと思う。しかも、毎日しっかり眠れた。

 1日のうち食事や料理、さらにはテレビやネットから食べ物の情報を得る時間を、すべて睡眠に移行したという感覚だ。

 食べ物の情報に接したり、今夜何食べようと思ったりする時間は日々の楽しみではあるが、思っていたよりも長時間をこれに費やしている。

 で、これがごっそり排除されると、時間を持て余すほどだった。その分とにかくよく寝たのだった。

2021.03.01(月)
文=CREA編集部
写真=深野未来、CREA編集部、Harriet