アーティストの町として 海外からも注目を集める岩瀬
前回、美食家たちが注目している岩瀬エリアの名店をご紹介した。ほかにもこの町が国内外から注目されている特徴がある。この町を拠点に作品を作り続けているアーティストたちが活躍しているのだ。どのギャラリーも無人になっていることが多く、事前に電話で予約してから訪ねたい。
陶芸家・釋永岳(しゃくなががく)さんが創る器は、富山県内の名店はもとより、東京の三ツ星レストランや海外からも発注が絶えない人気ぶりだ。新規注文の納品は2年先なのだとか。富山特集の第1回でご紹介したオーベルジュ、「キュイジーヌ・レジョナル・レヴォ」では、利賀村の土を使った器など、谷口英司シェフとともに創ったオリジナルの器が使われている。
代々陶芸を家業とする家に生まれ育った岳さんは、芸術大学で彫刻を学び、京都や実家の窯元で技術を磨いた。自然から得たインスピレーションを、土を使った伝統工芸の技法で表現し、他にはない独自の世界観を放っている。
釋永岳
所在地 富山県富山市東岩瀬町146
電話便号 090-6812-9549
http://gaku-shakunaga.com/
岩瀬大町通りより1本海側の道沿いにあるのは、「IRON CHOP(アイアン・チョップ)」。鍛鉄作家・澤田健勝さんの工房だ。ギャラリーも併設されていて、澤田さんの作品を見ることができる。家具や器、菓子切りなどをその場で購入してもいいし、特注品の相談をするのもいい。
富山県射水市出身の澤田さんは、大学で金属工芸を学んだ後、山梨県の鉄鍛冶工房で技術を学んだ。2003年に高岡市で独立、作家活動を始めた。岩瀬地区に移転したのは2020年4月。同世代の作家たちと切磋琢磨できる環境に魅力を感じたという。東京の皇居・坂下門、京都の知恩院、石川の金沢城、東京・上野の寛永寺などの修復や復元にも携わっている。
IRON CHOP(アイアン・チョップ)
所在地 富山県富山市岩瀬大町19-2
電話番号 076-471-6501
インスタグラム https://www.instagram.com/ironchop_/
Facebook https://www.facebook.com/IRON-CHOP-1940213926274343/
140年ほど前に、当時の廻船問屋が建てたという古民家に入ると、キラキラと輝くガラス製品が並んでいる。ガラス作家・安田泰三さんの「Taizo Glass Gallery(タイゾウ・グラス・ギャラリー)」だ。工房は数軒隣にある。
安田さんは、熱して柔らかくしたガラスの塊に息を吹き込んでふくらませる吹きガラス技法で作品を創っている。その中でも型を使わずに成形していく「宙吹き」と呼ばれる技法だ。さらに、ヴェネチアングラスの手法「レースグラス」を使い、繊細な色使いの美しいガラス作品を生み出している。吹きガラス技法では難しい平皿も、安田さんの手にかかれば巧みに遠心力と重力を使って大皿さえ完成してしまう。
Taizo Glass Gallery (タイゾウ・グラス・ギャラリー)
所在地 富山県富山市東岩瀬町109
電話番号 076-438-6205
2021.02.27(土)
文・撮影=たかせ藍沙