もうひとつの1日1組限定宿 薬問屋の歴史が香る「売薬宿屋山キ」

 「越中富山の薬売り」という言葉を聞いたことがあるだろうか。古くから富山では製薬が盛んで、「配置薬」という売り方は江戸時代初期に富山で生まれた。各家庭に薬を常備し、定期的に薬売りが来てくれて、使った分だけ支払うというシステムだ。

 「売薬宿屋山キ」があるのは、港町・岩瀬で唯一、北前船を持っていたと言い伝えられている薬商の成田家が暮らしていた家。間口が狭く、奧へ奧へと続く細長い家で、古い薬箱や家具など、薬商の暮らしぶりが残されていて、プチ博物館のような宿泊施設だ。

 ベッドルームは、ツインとダブルの2室。和室にふとんを敷けばもう2人宿泊することができる。キッチンもあるので、食材を持ち込んで、居間に置かれたソファとローテーブルを囲んで、薬商の成田家がそうしたように、家族で食卓を囲むこともできる。水回りは全面改装されていて快適。深いブルーが印象的なバスルームにはバスタブもある。

 宿泊プランは3種類で、1泊朝食付き、1泊2食「お食事券プラン」、1泊2食「御料理ふじ居仕出しプラン」。朝食は岩瀬大町の老舗昆布巻き店「野村商店」の和朝食か、富山の人気店「とべーぐる」監修のベーグルプレート朝食のどちらかを選ぶ。

 夕食については、お食事券プランは岩瀬地区の提携店の中から選んで自分で予約するスタイル。最後のプランは、名店「御料理 ふじ居」から仕出しが届くというもの。小さな町ならではのぜいたくな食卓となる。

 岩瀬地区には次々と美味しいお店がオープンしているが、宿泊施設の食事もこだわりがある。食いしん坊が季節ごとに通いたくなる魅力が詰まった町だ。

売薬宿屋山キ

所在地 富山県富山市東岩瀬町183
電話 076-461-4894(予約)
https://www.sharelife-toyama.com/yamaki/

【取材協力】
富山県観光・交通振興局 観光振興室
公益社団法人 とやま観光推進機構

https://www.info-toyama.com/

たかせ藍沙(たかせ あいしゃ)

トラベル&スパジャーナリスト。渡航約160回超・70カ国超、海外スパ取材約300軒超、ホテル取材2000軒超、ダイビング歴約800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。主な著書は『ファーストクラスで世界一周』(ブックマン社)、『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、『 LOVE! ROSE 薔薇のチカラでもっとキレイになる!』(宝島社)。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい 世界の楽園リゾート』『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』(ともにPHP研究所)。
Twitter @aisha_t
ブログ http://ameblo.jp/aisha/
公式Facebook http://www.facebook.com/WRT.by.FirstClassFlight
CREA WEB連載「たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周