「無償の愛ってこういうことなんやと、そのときに思いました」

――おまめという名前は?

 元々、まめっていう名前やったんです。変えてもいいですって言われたんですけど、ガラッと変えるのもどうなんやろうと思ったので、“お”をつけて“おまめ”にしました。

 僕、アインシュタインの河井(ゆずる)と養成所を出てすぐ5年くらい、コンビを組んでたことがあったんです。最近、河井から聞いたんですけど、当時、僕に内緒でめちゃくちゃ当たる占い師に見てもらったんですって。

 で、お母さんや弟の写真を見せたらすごく当たっていて、最後に僕の写真を見せたら、その占い師さんが「この子は芸名を変えたほうがいい」ってアドバイスしてきたらしくて。「なんて名前がいいですか?」って聞いたら、「おまめにしなさい」って言われたんですって。

 この前、河井から「そのときはアホらしくて、山名に言うてもなんやねんってなるから伝えへんかったけど、お前が飼い始めた犬、おまめって言うんやろ? びっくりして思い出してん」って言われて、なんか縁みたいなものを感じたというか。

 なんでかわからないですけど、泣きそうになりました。

うちの子ベストショット②

――(笑)。家へ来た日のことは覚えていますか?

 もちろん覚えてます。その日に初めて全身を見たんですけど、お腹まわりに毛がなくて、顔も真っ黒。

 犬を飼うのが初めてなので、犬ってお腹に毛がないんやと思いながらすぐに病院へ連れて行っていろいろと調べたんです。そうしたら、アトピーとマラセチア、あと食物アレルギーがあるかもしれないから、ケアしないといけないって伝えられて……燃えましたね。絶対にいける。大丈夫や。俺がなんとかしたるって。

 無償の愛ってこういうことなんやと、そのときに思いました。

――その時点で、おまめちゃんへの愛情が爆発していたんですね。

 してましたね! 保護犬についても、おまめが来るまでにめっちゃ勉強したんです。元々、いろんなルールを知った上で来るから、ゲージに閉じ込めずに家の中を自由に歩かせてあげてたほうがいいと。

 ただ、入ったらあかんところはちゃんと教えないといけない。この家のルールを破ったときは低い声で「ノー!」って言わなあかん。

 そんなことを頭に入れてたんですけど、初日から行ったらあかんところには全然行かなくて、むっちゃ賢いなと思いました。大人しくて吠えないし、噛まない。食欲だけは旺盛で……あれ、何の話してましたっけ?

――家に初めて来た日のことを伺っていたら、山名さんの愛情が溢れてあらぬほうへ行ってしまいました(笑)。

 そうやった! 家に来た日は、だいぶそわそわしてましたね。

 (先輩芸人の)テンダラー・浜本さんとよく犬の話をするんですけど、浜本さんは飼っているわんちゃんをリビングで寝さして、自分は寝室で寝てたんですって。ある日、その子が寝室へ入ってきて以来、一緒に寝るようになって「むっちゃ可愛かったわ」って話してくれたんです。

 その話を聞いて、僕も寝室に来て欲しいなと思いながら、おまめをリビングに置いて寝てたんですけど、うちに来て3~4カ月経ったとき、リビングから足音がして。見たら、おまめが寝室の前まで来ていて、その日初めて一緒に寝ました。あれは、めっちゃ感動しましたね。

 けど、一緒に寝て3日目にぶわっと僕の顔を踏みつけてどこかに行って以来、寝室へは来てくれなくなりました(笑)。

2021.01.21(木)
文=高本亜紀
撮影=佐藤 亘
写真=山名文和