原作を読んで言葉の美しさに魅了される
『みをつくし料理帖』への出演にあたり、原作を読んだという小関さん。物語の温かさに加えて、言葉の美しさにも感激したと話す。
「日本の美みたいなものが言葉に表れていました。
例えば、“秋の風を感じるような……”とか、日本の四季を思い起こす描写が詰まっていて。
僕が持っていないボキャブラリーがたくさんあり、言葉の言い回しが新鮮だったので、勉強になりました」
一言一句、かみしめるように伝える小関さんが演じた永田源斉は、当時にはあまりいないタイプの町医者。位は関係なく、庶民にも平等に医療を処方することを目指した、志の高い人物像だ。
「源斉先生のバックボーンは、特に原作を参考にしました。
映画では描かれていませんが、源斉先生のお父さんは、殿様を診るような身分の高い医者だったんです。
そこに疑問を感じて町医者になったという源斉先生の人情味を大切にしたくて、内面がにじみ出るような表情ができたら、と思ってやっていました」
小関さんから見た源斉はと言うと、“うらやましい”性格だったという。
「周りからは“先生、先生”と言われるけど、決して天狗にならず、かといって悲観もせず、本当にニュートラルにいられる人。
だから、うらやましいな、余裕のある人だな、と思いながら演じていましたね」と、愛おしそうに役に寄り添った。
2020.10.15(木)
文=赤山恭子
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=吉本知嗣
ヘアメイク=MIZUHO(Vitamins)