「やるからには、本物にしなきゃ」趣味の写真は仕事にも!

 『みをつくし料理帖』のもうひとつの主役は、澪が真心を込めて作る「つる家」の料理の数々。

 ホカホカの逸品がスクリーンに大映しになると、思わず喉が鳴ってしまう。小関さんも、「本当に、どれもおいしそうですよね!」とパンフレットの料理を見て、表情をゆるめた。

 小関さんといえば、無類の食パン好きとしても知られるが、「食パンは僕にとっておやつですから(笑)。実は和食、すごく好きなんです」と、和食歴についても触れる。

 「ニューヨークに初めて行ったとき、和食のおいしさに改めて気づいたんです。帰ってきて食べた、母親の玉子焼き、みそ汁がすごくおいしくて……。

 それから和食を大事にしています。朝はご飯派なので、時間に余裕があるときは、お米を土鍋で炊いて、みそ汁も作ります。一緒に漬物や納豆を食べたり、最近はとろろを載せました!」

 思わず「丁寧な暮らし」と、つぶやいてしまうほどの充実した自炊生活。「外出自粛期間もあいまって、料理をする時間は増えましたね」と話す小関さんは、料理以外に趣味にも最近ますます熱中しているとか。

 「趣味でやっていた写真は、最近、お仕事としてもやらせていただくようになりました。写真の連載が始まって、編集も今自分でしているんです。

 全体のコンセプト、写真の流れ、文章を自分で全部考えて、手書きのスペースも作成して。“こういうコンセプトです”とラフ絵を作って、デザイナーさんに投げて、形にしてもらうまでやっています」

 「趣味だったものが、仕事になってきたというか、認めていただけるようになってきた」と嬉々として話す姿は、俳優の域を超え、クリエイティブな芸術家の姿として輝く。

 写真のほかにも絵、音楽と、好きをベースにすそ野を広げ、精力的に自分の可能性を探っている。

 「今度、音楽番組のMCを務めさせて頂くことになったのですが、きちんとやるには、知識を高めるしかないと思っています。

 やるからには、本物にしなきゃ、という責任感がありますから。“あの写真いいね”“あの音楽いいね”“あのMCいいね”、そう言ってもらえるようになれたら、と今、必死に模索中です」

 25歳、歩む道は多岐にわたり、足取りは確かだ。

小関裕太(こせき ゆうた)

1995年6月8日生まれ、東京都出身。2006年、NHK「天才てれびくんMAX」(2006~08年)のテレビ戦士など、子役として俳優活動をスタートさせる。その後、舞台「ミュージカル『テニスの王子様』」「FROGS」、近年のドラマでは「半分、青い。」「死亡フラグが立ちました!」、映画では『曇天に笑う』『わたしに××しなさい!』『“隠れビッチ”やってました。』『シグナル100』などに出演。

『みをつくし料理帖』

時代は享和二年の大坂。暮らし向きは違えども8歳の澪と野江は、まるで姉妹のように仲の良い幼馴染だった。しかしそんなふたりが暮らす大坂を大洪水が襲い、澪と野江は生き別れてしまう。それから10年後。澪は江戸の神田にある蕎麦処「つる家」で女料理人に。野江は吉原にある遊郭で幻の花魁・あさひ太夫と名乗っていた。澪が苦心して生み出した料理が、別々の人生を歩むふたりを再び引き寄せていく。
2020年10月16日(金)より全国公開
©2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会
https://miotsukushi-movie.jp

2020.10.15(木)
文=赤山恭子
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=吉本知嗣
ヘアメイク=MIZUHO(Vitamins)