数ある映画やドラマの中で、心底好きといえる作品に出合うことはきっと奇跡に近いこと。
そんな作品と巡り合った選者が、愛する作品の魅力をナビゲート。鑑賞するときに欠かせないおともも要チェックです。
今回の選者は、1日に3本観ることもあるほど、ホラー好きなラッパーのR-指定さん。
小学生以来、その世界の虜になり、見た目の怖さ、心の闇の深さなど自身の成長とともに体感したさまざまな「恐怖」の形を語ってくれました。
◎村、コミュニティー、集団ならではの恐怖
心の闇を汲み取れるようになった成熟期。自分の“当たり前”が通用しない恐ろしさに触れる作品。
地元民の排他的な恐ろしさ
『わらの犬』
●ストーリー
数学者のデヴィッドとその妻であるエイミーは、都会の喧騒を離れて彼女の故郷に居を構える。そんなふたりに対し、エイミーの元恋人が率いる村の住民は嫌がらせを働く。
「これはホラーではないという人もいるかもしれませんが、地元民と都会から帰って来た主人公夫婦の間に流れる嫌な空気、それが最悪の形で惨劇に繫がるさまはめちゃくちゃホラー。
俺自身、大阪の都会じゃないところで育ったので地元は大好きですが、その反面、大人になっても変わらない関係値やしがらみの怖さを知っているので余計に恐怖を覚えました」(R-指定さん)
『わらの犬』
監督 サム・ペキンパー
出演 ダスティン・ホフマン
1971年
Blu-ray 4,800円
発売元・販売元 オデッサ・エンタテインメント
血の惨劇に導かれるハッピーエンド!?
『ミッドサマー』
●ストーリー
文化人類学を学ぶ大学生たちは、スウェーデンの山奥で90年に一度だけ開催される奇祭に参加する。しかし、そこで行われていたのは血の惨劇だった。
「舞台は山奥の集落。そこで催される祭りに若者たちが参加するという話ですが、『わらの犬』と違って、村人たちはウェルカム。
そのウェルカムさがどんどん恐ろしくなっていく。主人公にとってはハッピーエンドかもしれないと思わせるラストも含め、かなり深いと思いました」(R-指定さん)
『ミッドサマー』
監督 アリ・アスター
出演 フローレンス・ピュー
2019年
全国公開中
2020.07.06(月)
Text=Keisuke Kagiwada
Illustrations=Miltata