ああ、おバカさん。でも、バカで助かった!
さて、歯を抜く日。
道中、「スポンジボブがいいなぁ」「ママ、何が良いと思う?」と長男の頭の中はアニメ一色。待合室では、ここぞとばかりにiPadで遊び、「リップも貰えるかな?」とウキウキで診察室へ。iPadに夢中の長男を尻目に、私が小声で「この子は注射が大嫌いなんだけれど……」と言うと、「大丈夫! 彼は気付かないから」と歯科助手。
私の心配をよそに、今度はアニメを選ぶ長男。スポンジボブがなく、少しがっかりしたものの、今まで見たことのないアニメを選んでニッコニコ。すると、先生から「笑気ガス(亜酸化窒素)を使っても良い?」と聞かれました。戸惑っていると、「私にも3歳の息子がいるの。彼が同じ状況になったら絶対に使うわ」と言うので、お願いしました。歯茎に麻酔を塗ったところで、長男はアニメ鑑賞スタート。先生が麻酔の注射を手にしていることも知らずに、アニメに夢中な長男が哀れでもあり……。
先生は本物のプロでした。なるだけ、長男に注射が見えないよう、見えないように手を動かし、ささっと注射。全く気付かない息子を見て、先ほどの助手の言葉に納得。ああ、おバカさん。でも、バカで助かった! と思いました。一方で、先生の技にも大感動!
その後も、歯を抜かれていることにも気付かず、最後の抜ききるときにギシギシするのが嫌だったようで「う~ん」と言ったけれど、アニメを見続け、抜いた後も見続けていました。先生から抜いた歯を見せられて、長男は唖然。「血が出てる?」と歯よりも、血に執着(苦笑)。それでも続きが気になり、またもやアニメの世界へ。見終わると、愚図り始めた長男。抱っこをせがまれ、18キロを抱いて帰りました。でも、リップを貰うことだけは忘れておらず!? こんな経験をした後でも、歯医者さんが楽しみなようで、「今度はいつ?」と聞かれています。
田口玲子 (たぐち れいこ)
東京都生まれ。6歳と1歳の息子たちと共に、ニューヨーク・マンハッタンに住む。出版社にて週刊誌編集部、女性誌編集部、広告部を経て、夫の赴任に伴い2010年夏にニューヨークへ。渡米後、次男を出産した。旅行好きで訪ねた国は30カ国以上。旅するのと、生活するのは違うということを痛感する日々。子育ての合間の楽しみは、ベーグル店巡り。
Column
NYで子育てしてみました!
息子の幼稚園はマンハッタンのど真ん中! 英語はかたこと、さて……。ほんわかNY子育て記
2013.01.29(火)