30歳は20代の出会いで築かれた

 この舞台で共演した吉田鋼太郎さんと藤原竜也さんは溝端さんの役者人生で欠かせない存在だ。

「稽古中は鋼太郎さんと楽屋を同室にしてもらい、ちょっとしたことでも毎日聞いて、演劇のノウハウを一から教えていただきました。

 それ以来、夜中に押しかけて稽古をつけてもらうなど公私にわたって可愛がっていただき、今では半分家族で師匠のような存在です。

 竜也くんは、15歳から蜷川イズムを受けてきて、藤原節とでも言うような、竜也くんにしかできないお芝居をする姿に憧れますし、弱っているときにすっと言葉をかけてくださる優しさもあり、役者としても人間的にもすごいかただなと、いつも尊敬しています」

 多くの出会いに恵まれた20代。

 ドラマや映画の「新参者」シリーズの刑事役でコンビを組んだ阿部寛さんも、溝端さんに大きな影響を与えた一人だ。

「阿部さんはノンノボーイフレンドでモデルから俳優になられたかたで、僕はジュノン・スーパーボーイ・コンテストからこの世界に入って、どこかアイドル的な要素を持ちながら仕事を始めた身なので、似てると言ったらおこがましいですが、阿部さんの歩んできた軌跡やお話をお聞きすることが、僕の支えになっています」

 やんちゃだった少年時代から映画を観るのが大好きで、金曜ロードショーや日曜洋画劇場は欠かさず観ていたという。

「小学生の頃は、ジャッキー・チェンやアーノルド・シュワルツェネッガーが僕のスターでしたね。

 中学生になるとアクション以外の映画の面白さに気づき、行定勲監督の『GO』が僕の人生を動かしました。進路に悩む主人公を父親が海に連れて行って、『広い世界を見ろ。そして自分で考えろ』って言うんです。

 それを見て、自分も和歌山のど田舎で一生を終える必要はないのかもなと思ったのが、今につながっています」

 学生時代は文化祭で漫才や劇をするなど、目立つこと、人を楽しませることが好きだった。その自分を活かせる場所として選んだのが、芸能界だった。

「単純に、有名になりたい、がスタートでしたから、デビュー当時はそりゃあ、仕事をしているだけでただ楽しかったですよね(笑)。その裏側では、同世代の俳優たちの動向が気になったし、嫉妬することもありました。

 でも今は、単純に嫉妬できるほど若くはないし、これからそれぞれの個性が磨かれていって、各人のキャラクターが確立されていくと思うので、自分も含めて、みんながどう化けていくかが楽しみです。

 そうか! もしかしたら、30代はそのキャラクターを見つけていくときなのかもしれないですね」

2020.01.28(火)
Edit=Miwako Yuzawa
Text=Yuki Imatomi
Photographs=Wakaba Noda(TRON)
Styling=Ryoh Kuroda
Hair & make-up=Mariko Sasaki

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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