「やりたいことをやらせてもらって、仕事もプライベートもすごく充実してたかな」
清々しい表情で、気がつけばこの世界に入って30年という歳月を振り返る、篠原涼子さん。
女優として、人として、深みを増す――そのしなやかな日々の紡ぎ方を語ってもらった。
歌手として華やかに活躍し、その後、女優として確固たる地位を築き上げた篠原さん。
今なお作品ごとに新鮮な魅力を放ち続けている。
この日、撮影スタジオで柔らかな光に包まれた姿は、自然体でオーガニックな雰囲気の美しさ。これまで重ねてきたキャリアにも気負いはまったくないようだ。
「今日、言っていただくまで、今年が30年目なんて気づきませんでした(笑)。
これまでの私には、いい出会いがたくさんあって。運がいいんですよね。周りが引き立ててくれて今の自分がいる。
だからそれをちゃんと自覚した上で、折々に自分の夢だったこと、好きなことをやらせていただいているんだという初心に立ち返ってきたから続けられたのかもしれないですね。
小学生の頃からテレビに出て、表現してみたいと憧れ始めて、中学生ではそれが現実的な目標でした。15歳でその想いが叶ったんです。だから、そのまま20代までは、ずっと忙しくさせていただいていました」
心境に、ひとつ変化があったのは、30代に入った頃だという。
「ワンクッション、ちょっと本来の自分を見つめ直す時期だったのかもしれないですね」
結婚、そして出産という人生の大きな転換期を迎えたが、キャリアを中断することに迷いはまったくなかったと言い切る。
「神様から授かった命を育んでいくのは、母親である自分にしかできないことだから、ワクワクしましたね。
もちろんタイミングを見て仕事復帰する前提でした。旦那さんも仕事をすごくしてほしいっていう人だったし、私自身もずっと続けたいと思っていたので」
2020.01.23(木)
Edit=Miwako Yuzawa
Text=Junko Wada
Photographs=Yuichi Akagi(Eight Peace)
Styling=Masami Tanaka
Hair&make-up=Tamae Okano(STORM)