アラモアナ・センターもできていなかった1953年から、アラモアナエリアの一角で営業する老舗の食堂「リケリケ・ドライブ・イン」。最初は小さなスタンドでドライブイン形式だったので、近くにあったドライブイン・シアターのお客さんが立ち寄る、古いアメリカ映画に出てくるような場所でした。それから2回の改装を経て、現在の店舗になったのは1993年から。元祖ファミレスといった趣で、ハワイ風のアメリカンフードを気のおけない雰囲気で楽しめる、地元の人に愛され続けているお店です。

カウンターの中には、ソーダ・ファウンテンやコーヒーメーカーが並ぶ

 メニューは少しずつ増えてはいるものの、ほとんどが創業者のジェームス・ナコさんから受け継がれているもの。たくさんの人が集まる食堂であってほしい、というジェームスさんの遺志を継いで、創業当時から守るレシピと24時間営業の二枚看板を、現在はお孫さんのジュリーさんが大事に守って切り盛りしています。

ゆっくりと朝食を楽しめる深めのブース席

 定員188人の大きなレストランの24時間を支えるのは、総勢80名ほどの従業員。その半分以上は「シニア」とよばれる年齢のおばちゃんたち。元気なおばちゃんたちがかわいいムームーを着てフロアーを動きまわる様子が見られるのも、ここの食事がおいしい理由のひとつかも。最高齢はなんと78歳のウエイトレスさん。週に1回、楽しみで働きに来るそうです。

 サイミン、ロコモコは定番の人気メニューで、数多くのメディアでも取り上げられていますが、実はリケリケの朝食メニューが私のおすすめ。朝ご飯が大好きなハワイの人たちのために、24時間食べられるというのが、忙しい旅行者にももってこい。アラモアナセンターでのお買い物の寄り道にもいいし、徒歩1分の場所にあるウォールマートで、深夜までばらまき土産ショッピングをしたあとにも寄れます。

ゆる~く巻かれた「フレンチ・パンケーキ」

 そのリケリケ・ドライブ・インのメニューの中で、パンケーキの名がついている唯一のメニューが「フレンチ・パンケーキ」。ロール状に巻かれた薄めの生地&しっとりした食感のパンケーキの中に、爽やかなグアバジェリー(ジャム)が隙間なく塗られています。バターとメープルシロップは別添えで出てくるので、お好みでプラスして。生地はもちろん毎日、手作り。ジェームスさん秘伝のレシピで、バターが生地に入っているので、リッチな風味が特徴。グアバジェリーは日本はもちろん、アメリカ本土でもあまり見かけることはありませんが、ハワイでは各家庭で作るほどとても一般的なもの。ですが、他の店でグアバジェリーの入ったパンケーキは見たことがありません。グアバ独特の酸味がリッチなパンケーキとものすごく合う! シンプルなんだけど、これ以上でもこれ以下でも、リケリケの「フレンチ・パンケーキ」ではないなーと思います。

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2012.11.18(日)