欧米のダンスミュージックの風を
日本に取り込んでいた

 特に、バブル真っただ中の1990年にリリースした「ジャングルJungle」は、当時の最新のステップ「ランニングマン」(三代目J SOUL BROTHERSが2014年に提唱したのは、シャッフルダンスのランニングマンである)や「ロボコップ」などを取り入れている。

 田原の角刈りぎみのヘアスタイルや、やわらかめの素材のサルエルパンツ、サウンドから見ても、田原はそのとき、ボビー・ブラウンなどが世に広めたニュージャックスウィングを体現していたのだとわかる。

 田原は、デビュー当時からずっとアメリカのダンスミュージックの風を日本に取り込んでいたといっても過言ではないのである。

 その後の田原は、テレビでなかなか見られない時期もあった。

 彼のことをサッカーの三浦知良が尊敬しているという話は有名だが、テレビで見られない時期が、ちょうどバブルが終わったのと重なったこともあり、彼らの関係性が、どこか古臭く思えたときがあったのも事実だ。

 しかし、今となっては、いつでも変わらない活躍をするために、サッカーや歌とダンスという軸を持って自分を更新し続けている二人が、シンパシーを感じあうのは当然とも思えるし、ぶれずにお互いを尊敬しあい、そしてお互いに現役を続けている姿には、アップデートされたかっこよさが宿っているのではないだろうか。

西森路代(にしもり みちよ)

1972年愛媛県生まれ。ライター。「朝日新聞」や「TV Bros.」など連載多数。テレビ賞やドラマ賞の委員も務める。