◆鍈輝(えいき)
[恵比寿]

「鳥しき」の辣腕若手が独立
あの名店のDNAももつ男だった!

 今回は、恵比寿にオープンした焼鳥店。2019年上半期一番の話題店になる予感!

 焼鳥が好きである。なかでも「鳥しき」の焼鳥が好きである。しかし、なんにせよ予約が取れない。

 つい先日も食べログアワードでGOLDを獲得していたから、そのハードルは上がりっぱなしだ。

 そんななか、2019年2月1日にオープンした「鍈輝(えいき)」。店主は小野田氏。

 焼鳥好きなら「おっ」となるだろう。そう、「鳥しき」で研鑽を積み、「鳥かど」を任されていた精鋭だ。

 場所は恵比寿。といっても、チェーン店が並んだ西口ではなく、東口を降り、8分ほど歩いた辺りというのもいい。

 近くには町中華の名店「栄楽」もある。大人が落ち着いて食べ歩きできるエリアだ。渋谷恵比寿郵便局の真隣りに、目的の店を発見。

 なんだ、このピカピカは(笑)。壁面に銅が張られている。少々戸惑いながら、左の戸を開ける。

おまかせスタイルで楽しませる
渾身の“焼き”は変わらず!

 コの字型の白木のカウンターが美しい。カウンターの内側には焼き台。そこに凛々しい姿で立つ小野田氏。

 「京風ではなく、江戸っぽいニュアンスで、とお願いしました」という内装は、温かみがあり、腰を落ち着けるのにぴったり。

 まずは飲み物を。「鳥しき」でもお馴染のじゃばら酒がある!

 花粉症対策が期待できるといわれているから、マスクの欠かせない時期になってきた私にはぴったり。ソーダ割でお願いする。

 ほかに、日本酒も選りすぐりのものが、ワインはセラーまで入れてのラインナップ。焼鳥とのマリアージュを楽しみたい人にもよさそうだ。

 提供は、「鳥しき」と同じ、おまかせ。客が「ここまで」というところでストップを伝えるスタイルだ。

 まずは、さび焼きでスタート。ふわふわの大根おろしもセット。少なくなったら追加してくれるので、遠慮せずいただこう。

 皿にも見覚えがある。

「鳥しきと同じですか?」

「色違いですが、同じ作家さんのものを入れさせてもらっています」

 続いて、かしわモモ肉、シシトウ。かしわにまとわせたタレの塩梅もちょうどいい。

 この日は、小野田氏の焼鳥を毎月食してきた常連と連れ立っての訪問だが、彼も「うん、うん」と納得している模様。

 首の皮は炭に炙られチリチリッとなった脂の部分がうまい。白玉(うずら)の火入れもばっちり。

 さえずりは喉、ハツモトは心臓でも動脈に繋がっていた部分。貴重な部位が次々とやってくる。

 セセリ、銀杏を食べたところで、連れが少し苦言を呈する。「火入れがいつもより強くないですか?」と。

「はい、まだダクトにススがついていないので、火の勢いが強いんです」

 なるほど、酸素の通りがいいからか!

 素人食べ手の私はただただうまいと思っていたが、新店にはそんな苦労もあるのだな。

 しかし、それをものともしない実力が小野田氏にはある。

 もちろん大体は「鳥しき」での修業で培われたものだが、それだけではないことがわかった。実は……!

2019.02.12(火)
文・撮影=Keiko Spice