■「anone」
広瀬すずの泣き方に驚いた
──「anone」でハリカを演じた広瀬すずさんは、静かでありながら、情感豊かな芝居を見せていました。
坂元 底知れない人ですよね。9話の病室で彦星(清水尋也)とカーテン越しに話すシーンも、ト書きにはただ普通に「泣く」としか書いてないのに、すずちゃんがなんていうか、ミニマムな泣き方をしていて。あんな泣き方、ドラマでも映画でも見たことなかった。
世界中のどんな俳優にも似ていない、本当にオリジナルなお芝居でしたね。それを撮るほうも淡々と撮っていて、ちょっと見たことがないシーンになったと思います。
4話で阿部サダヲさんとちょっと軽いやりとりをするところがあるんですけど、それも面白くて。「ああ、こういうやり方もあったかな」って発見がありましたね。すずちゃんともまた仕事したいですね。次はコメディとかやってみたいです。
──坂元さんの一番最近の連ドラ脚本作である「anone」は、世界最大の国際映像コンテンツ見本市「MIPCOM 2018」で「MIPCOM BUYERS'AWARD for Japanese Drama」のグランプリを受賞しました。「anone」にはどんな思い入れがありますか?
坂元 「anone」はね、あと1年くらい書いていたかったです(笑)。とにかくこの4人(広瀬すず、小林聡美、阿部サダヲ、田中裕子が演じた疑似家族)のことが好きになったので、自分の中で全然終わらなかったんですよね。書きながら、「このままずーっとこの話を書いていたいなあ」って思ってました。別に終わらなくていいよって(笑)。
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坂元裕二(さかもと ゆうじ)
1967年大阪府出身。脚本家。主なテレビドラマ作品に、「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「問題のあるレストラン」「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「カルテット」「Mother」「anone」などがある。向田邦子賞、芸術選奨新人賞、同文部科学大臣賞、橋田賞を受賞。
脚本家・坂元裕二が語る
創作の秘密
2018.11.02(金)
構成=上田智子
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