生卵の殻を割ったら何が出てきた?

 最初に種明かしをしてしまうと、魔法使いというよりも、先祖代々伝統を受け継いできた “ヒーラー”が昔ながらの方法で人々を癒していました。

 ハーブが豊富に生息しているこの島では、毎年ホーリーウィーク(イースター)になると、ヒーラーたちは山に入り、力をもつ植物を収穫。祈りを捧げて、秘薬を作るのだそうです。

 ただ、今回3人のヒーラーに会う機会がありましたが、どうしても説明がつかないことも……。

 いちばん驚いたのは、ハニーさんとヴァージーさんによる“アゲ・サ・イットログ”。生卵を使ったリチュアル(儀式)です。

 ヒーリング担当のハニーさんがまず髪と頭を触り、その人の具合の悪い場所を感じ取ります。どうやら、私は腰と肘が悪いらしい。

 そこでリチュアルに使う卵を手渡され、穴が開いていないことを確認します(自分で卵を持参してもOK)。次に片手にキャンドルを持ち、目を閉じた状態の私のお腹に、ハニーさんが生卵を押し当て、耳元で祈りをささやきます。

 やがて、何かの神託があったのか、祈りを終えると、手にしたスプーンで卵をカンカンカンと叩きました。皿の上にするりと流れ落ちた白身の中には、なんと曲がった釘が。黄身の中にも、さらに3本の釘を発見。

 この一連のリチュアルを2回行い、計6本の釘が出てきました。殻が割れる瞬間も10センチと離れず見ていたし、どうして釘が入ったのか、本当にわからない……。

 マッサージ担当のヴァージーさんの伝統的なマッサージ“ヒロット”の施術のおかげもあり、身体はすっかりラクになりましたが、それだけが理由ではなさそうです。

 ボロボロ師のイキンさんのリチュアルも不思議でした。ストローをさしたコップをぶくぶくと息を吹き込みながら身体の上で移動させ、患部にあたると、異物がポロッと水の中に現れるのです。

 私の場合は、喉付近から魚のフンのような塊がぼろぼろと、水が汚れるくらい出てきて、恥ずかしかった……。

2018.06.30(土)
文・撮影=古関千恵子