スキンケアの役割の半分は
日中の美しい仕上がりのためにこそある
また違った仕組みで、メイクアップ効果を備えてしまったのが、メイクアップブランドとして一時代を築いたルナソルのスキンケア。オイルインソリューションは、本来はベースメイクで作るような水ツヤをスキンケアで作ろうとする化粧液なのだ。オイルと保湿剤を絶妙バランスで配合、透明感ある水ツヤ肌に仕上げていく。オイルインでありながらもウォーターベース、その矛盾が軽やかで艶やかな仕上がりをもたらすのだ。
今春は、まるで見えないミストファンデーションのような、ピンとしたハリツヤを作る、化粧後の仕上げ用ミストも登場しているが、こうしてスキンケアの役割の半分は、日中の美しい仕上がりのためにこそあるという強い思いが、次々新しいカテゴリーのスキンケアを作っているのだ。
さて、ソリッドファンデーションだけがもたらせるオイルシール仕上げで、毛穴もキメも見えない見事なツヤ肌を作ってきたキッカも、全く新しい“メイクアップのようなスキンケア”を確立した。それがオイルとエッセンスをセットで使うとてもユニークなスキンケア。
まずオイルエッセンスを手のひらで混ぜ合わせるという、ある種とてもファジーな乳化によって生まれるのはエナメル肌と言ってもよい見事なツヤ肌。オイルとエッセンスを分けて重ねて使うのは、何かスキンケアの流れから言えば後戻りしているように見えるけれど、これはふたつに分けないとどうしても生まれない曖昧な乳化をあえて狙ったのだ。それこそ、ソリッドファンデーションによるオイルシールでしか作れないような肌をこのスキンケアでも作ってしまうという発想。
まさにスキンケアとメイクのボーダーライン上に生まれた、過去に例のないスキンケアのメイク化。全ては速攻でその日一日用の“見た目美肌”を作るテクニック……未来の化粧品が、いよいよ形を持ってきた。人間はますますキレイになれるのだ。
齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。近著に『されど“男”は愛おしい』(講談社)がある。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2018.05.21(月)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史