美しい港町は
徒歩で散策してこそ楽しい
ウラジオストクで楽しみにしていたのは、街歩き。主だったストリートやスポットはほとんどが徒歩で行けることが分かったので、地図を片手に歩いてみることにした。風景を眺めながらのんびりと、すみずみまで歩けるこんなコンパクトな街は大好きだ。
港湾都市のウラジオストクは、金角湾沿いの丘陵地帯に街が広がっている。メインストリートはスヴェトランスカヤ通り。ピンクや淡いブルー、クリーム色のどっしりとした建物が並ぶ様子は、一見するとポストカードのよう。でも、その中にくすんだ色があったり、古びた建物が残っていたりするところが、どこかソビエト連邦時代の名残を思わせる。
スヴェトランスカヤ通りからは坂道が何本も延びている。そこにも瀟洒な建物が並んでいて、これもまた絵になる。ときどき、メインストリートをはずれながら坂道に入ってみると、思いがけず素敵なショップやカフェを見つけることも。歩道は広いし、人は多くてもマナーがいいから、とても歩きやすい。
唯一悩まされたのは、どの店舗も入口がとても分かりにくいこと。そもそもロシア語の看板が読めないというのもあるけれど、ショーウインドーもなければ入口も閉まっているので、ぱっと見、なんのお店なのか、建物なのか、判断ができないのだ。
地元の人に聞いたところ、これは寒さ対策。扉を二重にして入口を狭くし、窓もつけないことで、暖かさを保っているのだそう。真冬は零下20度にもなるというから、それも納得。
2018.01.16(火)
文・撮影=芹澤和美