もう恥ずかしがってる場合じゃない?
あっという間の新習慣
以前、デリケートゾーンケアがトレンドという話をした。ほんの少し前、説明を聞くだけで、ちょっと赤面したりするほどだったのに、瞬く間に市民権を得て、早くも日本の新常識のような様相を呈している。まだ始めていない人が、ちょっと肩身の狭い思いをするのはもう時間の問題なのだ。
だってそもそも、日本人は世界一清潔好き、いやそれどころか、潔癖症の割合が最も多く、洗うことは誰よりもきちんと行いたい国民性があるわけで、誰かがもう始めていると知った途端に慌てるはずなのだ。実際、一度でもデリケートゾーン専用のクレンジングで丁寧に洗うと、もう生理的に使わずにいられなくなるというふうに。しかも今、30代以下の多くがアンダーヘアを処理、VIO脱毛も常識になっていて、そこまでやるなら、専用のクレンジングやローションを使っても不思議ではなく、となればデリケートゾーンケアもあっという間にやらなきゃ恥ずかしいものになるはず。
ところがそれも束の間、この下半身のケアにおいて早くも次なる展開が始まっている。“セクシャルケア”という全く新しいカテゴリが出来上がりつつあるのだ。
これはデリケートゾーンケアに加えて、セックスにまつわるケアをも意識した提案で、正直これまでは、肌や膣に刺激のあるもの、粗悪なものも出回っていた分野、今こそ安全で肌にも優しい信頼できるものを作り直そうという動きが起きているのだ。だからほとんどがオーガニックもの。オーガニックコスメの新しいジャンルと考えてもいいほどに、ナチュラルにこだわった提唱なのである。
先駆けとなったのが「YES」という英国ブランドで、製薬会社ファイザーに勤めていた2人の女性が開発したもの。デリケートゾーンは、他の皮膚に比べて経皮吸収率が40倍以上といわれ、その分だけ極端に過敏であることに着目し、これまでのものでは危険であると提唱した。パラベンやグリセリン、シリコンなど、肌はもちろん粘膜への刺激の可能性があるもの一切を排除。またデリケートゾーンは酸性に傾きやすいことから、pHバランスを整えることも大きなテーマとして掲げた。洗うこと、潤すことに加えて潤滑のためのローションなどもあってまさにそのシーンを意識しているけれど、生理中などの痒みや痛みに対してもアプローチしているのが本当に新しい。
2018.01.01(月)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史