下準備から2週間かけて作る

パネットーネの内部温度をチェックする吉村有紀子さん。

 パネットーネを焼くのには、下準備から2週間かかります。2週間前に酵母の状態をチェックし、発酵段階では3時間おきに天然酵母をチェックしなければなりません。

 イタリア独自の天然酵母、このパネットーネ種はきちんと管理しないと、酸っぱくなったり、えぐみが出てしまったりするのだそう。

 3日かけて生地を作り、型に入れて表面に切り込みを入れ、オーブンへ。焼き上がりの内部温度は92~94℃と厳密なので、こまめにチェック。

 オーブンから出したら、大急ぎで串に刺し、逆さにして冷まします。そうしないと、生地がみるみる沈んでしまうのだとか。

上部に切り目を入れて生地を破らないように開いてバターを乗せる。
左:発酵器のホイロを利用して冷ましている。
右:パネットーネは焼き上がったら逆さに吊るして冷ます。

 「添加物なしのパネットーネは、パネットーネ種独特の香りがします」と吉村さん。バニラビーンズ、蜂蜜も入った豊かな味と香りに魅せられます。カットした断面の気泡が均一ではなく、大小あるのが天然酵母の証。

 ふんわりした食感で口溶けも良く、フルーツの甘くさわやかな香りが広がります。

パネットーネの断面。

 「パネットーネ・チョコラータ」は、ヴァローナのチョコを使用した、リッチな味わい。

 「パネットーネ・フルッティ・ディ・ボスコ」は、ラズベリー、クランベリー、ブルーベリー入り。3種のベリーの甘酸っぱい味が特徴。

 吉村さんひとりで焼くので少しずつしか作れず、どの種類があるかは、お問い合わせを。小さいサイズはお味見、お試し用だそうです。

 そのまま食べてもおいしいパネットーネですが、吉村さんのおすすめは、「カットし、オーブントースターなどで軽くトーストして、アイスクリームや泡立てた生クリームを添えて」。ただし、焦がさないように注意、とのこと。

2017.12.10(日)
文・撮影=そおだよおこ