オランダデザインと最新技術が
結晶した自転車とは?

こんな「エコ・バイク・タクシー」も自転車の街ならではだ。市の中心部では車と路面電車、そして自転車が行き交う。
この自転車は、ハンドルの前に子供用ボックスが付いていて、子供が2人座ってシートベルトをすることができる。

 アムステルダムでは、日本では見かけないような様々な自転車が街を行き交う。たとえば、ハンドルの前に大きな子供用ボックスが付いている自転車。2人分のシートベルトまで付いていて、目の届く範囲内で子供の安全が確保できるようになっている。色や形に、よく見ると細かいデザインが凝らしてあって、乗る人の個性が表現されている。

左:バンムーフの本店。屋外にも自転車が停めてある。
右:自転車ショップというよりデザイン事務所のような美しい壁面ディスプレイ。

 そんな自転車の街で、もっとも注目されている自転車ブランド、「バンムーフ」のショップを訪ねた。天井の高い店内にはたくさんの自転車が置かれているほか、壁には、ディスプレイデザインの一部のようにサドルやハンドルなどの交換用パーツが並べられている。入り口を入ってすぐに、デザイン性の高さを感じることができるショップだ。

店内には様々なモデルがズラリと展示されている。

 「バンムーフ」は、2009年に2人の兄弟によって誕生した自転車ブランド。ホームページには「世界一のシティバイクをつくる」「私たちは世界を変えたい」と書かれている。2016年に発売された電動アシスト付き自転車は世界各国から注目を集めた。街にこだわった独自の製品を作りつづけた結果、パーツの80%はオリジナルなのだという。

施錠も解錠もスマートフォンで行うことができる。

 それらの自転車は、とにかくかっこいい! 電動アシストのための不格好で大きなバッテリーも見あたらない。すべてフレーム内に収まっているのだ。

 しかも、そこに最新テクノロジーも入っていて、スマートフォンで施錠と解錠ができたり、専用アプリを使って自転車の位置を確認したり。

 自転車の位置確認は盗難時に威力を発揮する。なんと、盗難に遭った場合はGPSを使って探してくれるという。しかも、2週間以内に見つからなければ新しい自転車を届けてくれるのだ! パーツがオリジナルということも盗難防止に役立っている。パーツに分解しての転売が難しいからだ。

最新モデルを説明してくださる創始者のひとり、タコ・カーリエ氏。弟のティーズ・カーリエ氏と「バンムーフ」を作った。

 どの機能も驚きの連続で、創始者兄弟のひとり、兄のタコ・カーリエ氏の説明に聞き入ってしまった。その後、実際に試乗させていただくと、走り出しがすこぶる滑らか。緩やかな坂は平地とほとんど変わらない感覚で走ることができる。デザインだけではない、自転車最新国の最新モデルはとにかく凄い!

 

パーツの80%はオリジナル。サドルもハンドルもスタイリッシュだ。

「バンムーフ」は、2017年春に日本に上陸。日本仕様にデザインした新しい電動アシスト付き自転車を発表した。中古の車が買えてしまいそうな価格にもかかわらず、初回販売分の500台には予約が殺到したという。盗難保障のシステムもオランダと同様に稼働している。日本の街でもオランダの最新自転車を見かけることができそうだ。

VanMoof Amsterdam
(バンムーフ・アムステルダム)

所在地 Mauritskade 55, 1092 AD Amsterdam
電話番号 020-330-7401
http://www.vanmoof.com/

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2017.12.08(金)
文・撮影=たかせ藍沙