高原を行く豪華寝台列車は
チチカカ湖を目指す
さて、いよいよ「アンデアン・エクスプローラー」号に乗りこむことに。見送ってくれるのはアルパカとリャマだけという荒涼としたアンデス高原に、静かに横たわるネイビー×シルバーの車両。きょうが乗客を乗せての初運行のため、カプチン会の修道士による祈祷が行われ、聖水が全車両に振りかけられた。
そして列車は、チチカカ湖の玄関口、プーノを目指してゆっくりと滑り出す。
最後尾の展望デッキも、つづくラウンジ車両も、真新しいだけでなくじつに洗練されている。フューシャピンクやオレンジといった、ペルーならではの印象的な色使いをアクセントにしたインテリア。軽やかで居心地のよい空間は、さすが列車の旅を提供することに長けたベルモンドならではだ。
もちろんダイニング車両もエレガント。ブラウンを基調にしたシックなしつらえに、磨き上げられたグラスやカトラリーが輝く。列車旅行の大きな楽しみのひとつである食事が、この洒落た食堂車で食べられるわけだ。
右:とはいえ連結部付近では、こんな素敵な車窓の風景が楽しめる。
客室にあたるキャビンの内装も、軽やかかつシック。アンデス高原に広がる大地の色からインスピレーションを得たというサンドベージュとブラウンを主役に、ドアノブや送風口など要所に施されたクロームの輝きが、なんともラグジュアリーな雰囲気を盛り上げる。壁面いっぱいに採られた大きな窓から見える景色が、絵のようにキャビンを彩る。
2017.06.27(火)
文・撮影=大沢さつき