空が近いチチカカ湖と
6000メートル越えの霊峰と

トトラ葦でできた浮島、ウロス島の人たち。

 プーノに着くと、今度はボートに乗り込み、チチカカ湖探索の旅へ。最初に訪れたのはウロス島。トトラという葦でつくった浮島に、ファミリー単位で生活する人たちを訪れる。

 島に上がらせてもらうと、なんともフカフカした感触。1メートルほどの厚みに葦を積み上げてできた浮島には、やはり葦でつくった小屋がいくつもある。けれどトイレのない浮島も多く、用を足すためにモーターボートで街まで行くという、なかなかメンドウな生活だ。

 実際のところ、ほとんどのウロス島の人たちは、観光客がやってくる昼間だけ島に来て、夜間は街に帰るらしい。そんなツーリスティックな側面もあるのだが、こうした伝統的な生活を残しているのはとても貴重なことだと思う。

タキーレ島には、ペルーの国花であるピンクのカントゥータがたくさん自生している。ちょっとトランペットのような形をした別名“インカの聖なる花”。

 次に訪れたのは、タキーレ島。雲と湖面があまりに近い。チチカカ湖の標高はちょっとでも走ったら、心臓をバクバクさせる。

 このタキーレ島はなんと男性が編み物を、女性が織物をすることで知られた島で、とくにその織物技術はユネスコの無形文化遺産指定を受けているほどだ。

お祭りのときの衣装で出迎えてくれたタキーレ島の人々。カラフルな衣装が空と湖の青にとても映える。

 民族衣装を着て出迎えてくれたタキーレ島の人たちは、みな背が小さい。男性のかぶっているニット帽は、もちろん自身が編んだもので、この帽子、水を入れても漏れないほどみっちり、きっちり編まれている。

 この島の人たちは、先ほど訪ねたウロス島の人たちとは違う民族で、話す言葉も違う。それほどチチカカ湖が広いということでもあり、さすが琵琶湖の12倍。そのサイズはケタ外れに大きい。

モノクロームの山々と草を食むアルパカたち。ここラ・ラヤ峠は“境”という意味があり、チチカカ湖のあるプーノ県とこれから行くクスコ県の県境になる。

 翌朝、列車は次なるハイライトであるラ・ラヤ峠に到着。はらはらと小雪の舞う冷たい空気の中、雪渓のチンプーヤ山やヤナ・クチーヤ山を望む。やはりここでも見かけるのはアルパカやリャマたち。4000メートルを越える標高も、彼らはモノともしない。

 黒くそびえる5000メートル、6000メートルのふたつの山が、霊峰のようにこの峠を見下ろしていて、神秘的。人を寄せつけない厳しい自然ながら、なにかこう包みこまれるような安心感があるから不思議だ。

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2017.06.27(火)
文・撮影=大沢さつき