坂道系グループには
当初から注目していた

乃木坂46「夏のFree&Easy」(2014年7月9日発売)

伊藤乃木坂46は2014年6月に紹介していますが、2016年の11月にリリースしたシングル「サヨナラの意味」で初のミリオン達成をしました。

山口 伊藤さんは、乃木坂46、欅坂46の坂道コンビは、当初から注目していましたね。実際CWF(コーライティングファーム/山口が塾長、伊藤が副塾長を務める「山口ゼミ」修了生による、作曲家チーム)メンバーによる楽曲の採用も続いていますね。

伊藤 坂道系の楽曲に関してはCWFメンバーと一緒にかなり研究していますからね。結果に繋がるのも当然かと。あとは2013年12月に紹介した安室奈美恵。当時は制作チームとの繋がりはなかったのですが、コラムで紹介した後くらいからA&Rとやり取りするようになり、少しずつ制作にも関わらせてもらっています。今年はデビュー25周年ということもあり気合い入れていきます。

山口 安室奈美恵は、今のJポップシーンのメジャーアーティストの中で、最も「かっこいい音楽」にフォーカスしているアーティストですね。節目の年に、どんな作品をリリースするのか楽しみです。

伊藤 山口さんが記憶に残っているのは何ですか?

山口 たくさんありますが、星野源は外せないですね。星野源は素晴らしいアーティストだし俳優でしたが、あくまでサブカルチャーのフィールドでしたから、テレビの連ドラで新垣結衣の夫役でブレイクして、お茶の間のスターになるとは、嬉しい驚きでした。

伊藤 すっかり時の人ですね。

山口 スターになりましたね。

社会モラルという尺度で
ミュージシャンを測るべきか?

ゲスの極み乙女。「猟奇的なキスを私にして」(2014年8月6日発売)

山口 それから話題という意味では、ゲスの極み乙女。がありました。

伊藤 不倫騒動から始まり、なかなかお騒がせなバンドでしたが、活動停止ってなんですかね?

山口 僕らは川谷絵音の音楽的才能にいち早く注目していましたよね。メディアで叩かれるのは仕方ないんですが、作品が発表されないのは日本の音楽界にとって損失ですね。

伊藤 社会モラルという尺度でミュージシャンを測ってどうするんですか? そんなんじゃ芸術は死んでしまいますよ。

山口 近年、女性タレントや女優のロマンスのお相手はお笑い芸人かアスリートだったので、ミュージシャンが当代随一の人気タレントとのゴシップということに密かに喜んでいたのですが、不倫で叩かれた後に未成年との飲酒はまずかったですね。脇が甘かったと言われても仕方ない。実はマネージメントをよく知っているので、心労がすごいだろうなと心配していました。結局事務所はやめてしまいましたが、音楽的才能があるのは間違いないから頑張って欲しいです。

伊藤 まぁ、彼の才能を生かせる場所はたくさんある時代ですからね。スマートな男ならそれに気づいているだろうし、またステージに上がってくるでしょうね。

山口 音楽に真摯に向き合う姿勢さえ失わなければ、必ず浮上してくると思います。機会があれば協力したいです。

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2017.03.31(金)
文=山口哲一、伊藤涼