【WOMAN】
親が選んできた相手を
自分で選び直していくプロセスが魅力
不器用な人は、かわいい。
19世紀の中央アジアを舞台に、親が決めたいいなずけの元へと嫁いでいく「お嫁さん」達のドラマを紡ぐ連作集『乙嫁語り』。8巻、9巻でヒロインとなったパリヤは、結婚を夢見る元気娘だ。
いっつも言葉足らずで、そのことに自分で気づいて悩んでいる時はしかめっ面で、ワガママだと思われがち。つまり、とっても不器用な女の子(手先も不器用)。ようやっと親が結婚相手にと見つけてきてくれた隣町の少年ウマルのことを、実はとっても気に入っているのに、邪険にしてしまう。極度の恥ずかしがり屋だから、「好き」なんて絶対言えない。「私もう一生結婚できないんです!」。
そんなパリヤが、焼きたてのパンや昔から受け継がれてきた恋の歌で、ウマルに思いを伝えようとする。まっかっかな顔で。それが、伝わる。コミュニケーションに一番大切なのは、言葉ではない。相手に伝えたいと願う、思いの熱さなのだ。
『乙嫁語り』(既刊9巻) 森 薫
物語の舞台は、ロシアに支配される前の19世紀中央アジア、シルクロードの世界。遊牧民の娘で20歳のアミルは、都市生活を送る12歳の少年カルルクの元へと嫁ぐが……。8巻、9巻で登場するパリヤは、第5の乙嫁。アミルとの交流も読みどころのひとつ。『ハルタ』連載中。
KADOKAWA 620円
Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2017.02.22(水)
文=吉田大助